天を測る


 幕末の安政7(1860)年、咸臨丸が浦賀港からサンフランシスコを目指して出航した。
そこに乗る算術・測量術を得意とする小野友五郎は、乗組員であるアメリカ人たちに負けない技量を披露していた。
アメリカの技術を知り、学び、自国で通用させるため、友五郎は数字と向き合う。
いつしかその実直さを買われ、望んだわけではなくとも出世し、やがて日本の大きな変革に巻き込まれていく。

 今野敏の書く主人公は、真面目で芯があり、ただ自分の役割を全うしているだけなのに人からは大きく評価され、変わった考えを持つ人だと言われるが、自分自身はただ思う道を進んでいるだけでなのでなぜ評価されるのか理解できないといった人物ばかり。
どんなシリーズでも同じで飽きてきた。
面白かったのは福沢諭吉が自分勝手でちゃらんぽらんの困ったやつという人物だったこと。
 ヴィクトルの活躍する「曙光」や、「蓬莱」、「海に消えた神々」といった昔のようなしっかり読ませる話がまた読みたい。

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