明治乙女物語


 東京・御茶ノ水の高等師範学校女子部で学ぶ咲と夏。
ある日、森有礼主催の舞踏会に出席した二人は爆発事件に遭遇する。
犯行声明により犯人が特定され、警備も強化されていたが、咲は現場で見つけたものから、全く違う犯人も見つけていた。
女が学ぶことについて偏見が大きかった時代、二人は様々な障害を自分たちで切り抜けながら、自分の人生を歩もうと前を向く。

 ままならないことが多いことで、生き急ぐ者たちの哀しさがじんわりと染み出す。
強く生きているつもりでも、幼いころの思い出に心を揺らしたり、憧れに気をはやらせたり、諦めに身を投じたり、これから人生を選び取っていく乙女たちの心の揺れが、時代の揺れに共鳴しているよう。
心を強く持とうという気を残す物語。

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