書架の探偵、貸出中


 推理作家E・A・スミスの複生体(リクローン)のE・A・スミスは、図書館間相互貸借の制度によって、海沿いの村の図書館に送られた。
そこで母親と暮らしている13歳の少女チャンドラに借り出された彼は、何年も前に姿を消した彼女の父親探しを頼まれる。
解剖学教授の父親は革装の本を残しており、その本には極寒の氷穴がある“死体の島”の地図がはさまれていた。
そしてチャンドラからは、また別の依頼を受けてしまう。

 ウルフの未完の遺作。
スミスと同じように図書館の蔵者として作られた者たちと共に、地図に書かれた場所を探す。
いくつかの謎を解いて帰ってきたスミスは、次にチャンドラの依頼である家の幽霊を探り始める頃には、章の間のつながりが亡くなってきて、まだ未完である所以を感じることができる。
扉の向こうが異世界とつながっているという、前作と同じ展開が出てきたときは少しがっかりした。
それでも前作はうまく断絶させる方法をとっていたことを思うと、今回はどんな手段ができただろうかと想像することは楽しい。

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