キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇


2016年10月15日 読了
 タカシがキングとなったワケ。
誰からも慕われていたタカシの兄・猛が、池袋のガキたちを束ねようとしていた。
それは隣町で抗争を繰り返していたカラーギャングたちが、池袋にもやってこようとしていたからだ。
そして埼玉の双子が手を出してきて、猛は足を痛める。

 氷の様なタカシの原型はすでにあるが、まだ兄の陰に隠れていた頃はひたすら暗い印象。兄は簡単に死んでしまい、その犯人も上手く挿げ替えられすぎる。
警察に見破られないわけがないが、キングの誕生を経調したかったのか、その采配も強烈。もはや無法地帯。

検事の本懐


2016年10月14日 読了
 優秀だと噂の、まだ若い検事。
出所したばかりの男がその足でまた窃盗で捕まった。
検事の佐方貞人は、所持金があるにも関わらず腕時計を盗んだという男の行動に疑問を持つ。

 上の意志に逆らって自白している被疑者を送致するのを渋ったり、傍から見るとおかしな言動をする佐方だが、実はただ一人真実が見えている。
ありふれた設定。それなりに楽しく読んだが、最後の事件は納得いかない。
秘する気持ちを、知っている者が静かに思い浮かべるから真実味が出るのであって、記者がたいして取材もしないで「おそらく当たっている」という想像だけの過去が、出来事だけならまだしも、当事者の表情や心のうちまで語っても、全く説得力がない。

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月輪先生の犯罪捜査学教室


2016年10月11日 読了
 銀座で探偵事務所を営んでいる月輪龍太郎は、東京帝大で犯罪捜査学講座を受け持つことになる。
しかし学生は3人。
やる気の感じられない3人に向かい、月輪は講義を始める。
教科書を使わず、実際の犯罪を扱うという方法で。

 3人の学生にそれぞれ謎解きをさせ、答え合わせとして月輪が犯人を捕まえてゆく。
他のシリーズのスピンオフということらしいが、これだけ読んでも色んなパターンがあり、楽しめる。しかし本格的というほどではない。

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FEED


2016年10月08日 読了
 家出や、社会からはじき出された人が住む、治安の悪いシェアハウス。
そこでは盗みが頻発し、プライベートなどなく、不潔な環境で様々な男女がいた。

 犯罪に加担する者、シェアハウスの狭い環境で威張る者、お金がたまるとさっさと出ていく者。

 そんな中で、運よく出られた主人公の綾希が見た、暗い世界。
恐ろしいうえに救いがなく、辛い気持ちになるのに最後まで一気に読んでしまう。

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ペテロの葬列 下


2016年10月06日 読了
 バスジャック事件の被害者に届いた「慰謝料」を巡り、被害者たちの意見は対立する。
出どころを突き止めるまでは使わず、その後は黙って受け取るのか、すべてを寄付するのか。。。

 金を手にすると人は変わる。
そんな彼らの心を少しでも軽くしようと、杉村は動く。
幸せな家庭を築いていたように見える杉村の、少しづつ閉じ込められるような息苦しさがしだいに大きくなる。
最後は衝撃だったけど、バスジャックはあんまり関係なかったような気もしてしまう。
そのうえ、妻の父という大きな存在から遠ざかった杉村に、あんまり興味はなくなってしまった。
次の「探偵」へ向かう前振りだとしても。

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英雄先生


2016年10月01日 読了
 ボクサーの夢が破れ、地元に帰って教師をしながらくすぶっていた池田。
ある日、教え子の女子生徒が失踪し、さらに旧友がホームレスのような格好で死んでいるのが見つかる。
女子生徒は車で連れ去られたとの目撃証言もあり、池田は行方を探し始める。

 最初はあまりの下品さと、しばらくたっても中身が見えてこないために投げ出した。
タイトルと表紙からも何も伝わってこないのも理由。
でも読み進むうちにわかってくる池田の人柄が、この先どんな考えを持つのだろうと興味を持てた。
最後はオオゴトになる。でもやっぱりこのタイトルは失敗だと思う。

どうもこの人は、「探偵はバーにいる」のシリーズ以外はぱっとしない。

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St.ルーピーズ


2016年09月30日 読了
 家の事情で格安物件を探していた主人公の聖央大学理工学部応用物理学科のビンボー1年生・二神雫。
食堂で見つけたチラシを頼りに、超常現象研究サークル「SL&S」に入会しようと面接を受ける。
しかしそこは、“St.ルーピーズ・サナトリウム(聖なる愚か者の療養所)”と噂されるサークルで、その結果雫は不思議現象に立ち向かうはめになる。

 ミステリーのようだけど理論的で、推理のようだけどヒントはなく、ただ謎解き編を読み進むしかない。
でも個性的な登場人物と先端技術が合わさり、なんとなく納得させられる。
そんな技があったのかと次の時代への期待が沸き起こる。

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ヒワマン日和


2016年09月26日 読了
 酒癖の悪い父から逃げ出そうとする聖人の前に突然現れた、黒ずくめの女性・日和満。
自らを「ヒワマン」と呼ばせるその女性は、見た目も話すことも変わっていた。

 今までの作品とはガラリと違う雰囲気。
どう受け取っていいのかわからないというのが感想。
色んな所に現れ、人々の背中を押し、誠実な態度を見せ、さらりといなくなる。
迷う人たちの元でその迷いを吸収し、より黒さを増していく人外のもののよう。

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ペテロの葬列 上


2016年09月22日 読了
 ある日、園田編集長と一緒に向かった取材の帰りに乗ったバスで、バスジャックに遭遇する杉村。
犯人の自殺という結果で終わったその事件が、一緒に人質になった者たちの団結を強め、さらにそのまま終われない違和感を残した。

 杉村シリーズ。
あっけない事件かと思っていたら、園田編集長の過去が語られ始めたころから急にスピード感が増す。
全く見えてこない慰謝料の出どころと犯人の出した3人の名前が興味をそそる。

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柳屋商店開店中


2016年09月20日 読了
 「ジョーカー・ゲーム」シリーズの作者・柳広司が書いた、エッセイや未発表作品を集めた何でも集。

 デビュー前の作品があったり、好きな本や映画を紹介していたり、柳広司という作家がどんなことを考えてきたのかがわかる本。
こうゆう本はたいていがっかりするものが多いけど、こちらは短編やパロディ的なショートストーリーがあって思いのほか楽しく読めた。

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柳屋商店開店中 [ 柳広司 ]
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