星くずの殺人


 完全民間宇宙旅行のモニターツアーで当選した人たちを乗せて、宇宙ホテル『星くず』へたどり着いた添乗員の土師。
ところがその矢先、同僚の伊東が首を吊った状態で死んでいるのが見つかる。
無重力ではありえない、首つりだったために、ツアー客を残してホテルスタッフが逃げてしまう。
しかし脱出前にさらに殺人が起き、ホテルの機器類が故障したりとトラブルが続く。
何とか地球と連絡を取ろうとする伊東。
犯人がまだここにいる状態で、助けはくるのか。

 初の格安宇宙旅行のトライアルツアーということで、民間からの応募からランダムに選んだはずの客たちに、次々に起こる事件が不信感を起こさせる。
これまで面識のなかった人たちがお互いを疑い、宇宙ホテルそのものが大きな密室として恐怖を誘う。
周到な計画と知識が盛り込まれ、そこにも興味をそそられた。
あらゆる安全対策を取っていたとしても、どこかの分野から見れば穴だらけだというような、予想もつかない展開が楽しかった。