ポリス猫DCの事件簿


2012年11月08日 読了
 神奈川県の盲腸と呼ばれる葉崎半島の先に、猫がメインの島がある。通称「猫島」と呼ばれるその島にある、派出所勤務のおまわりさん。仮説の派出所に毎日通ってくるおまわりさんと、そこに住みつくドラ猫DCの、てんてこまいな毎日。

 ちょっと頼りないおまわりさんと、まるで上司のような猫のコンビ。だけど長閑な事件もやっかいな住人も、なんだかあまり生彩がない。同じような設定ならもっと面白いものはたくさんある。

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裁くのは僕たちだ


2012年11月07日 読了
 裁判員制度によって偶然選ばれた主人公は、ある殺人事件の裁判に出向くことに。
動機もあり、目撃者もいる。すぐに終わると思っていたのに、事件の関係者が接触してきた。

 このネタは多い。だけどちっともおもしろくない。
これもやはりがっかりしただけだった。

つむじダブル


2012年11月04日 読了
 二人の作家が兄妹それぞれの視点で描く、一つの家族。
仲が良くて、大好きな家族に、ある日1本の電話が入る。
お母さんは絶対知ってる人のはずなのに、「知らない人」だと言う。
 妹のまどかがチクリと胸に感じた違和感が、自分の知らないお母さんの過去と繋がる。

 二人の作家の合作。
どちらも優しく優しく話を紡ぐ作家さんで、交互に書かれているはずなのに少しも違和感なく読み進められる。
最後に兄のユイチが語る推理は安易で、ちょっと違うかなぁと思ったりもしたけど、高校生の男の子の考えとしては正解なのかもしれない。
 本当はもうちょっと隠れていそう。

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夏草のフーガ


2012年11月04日 読了
 大好きなおばぁちゃんの通っていた望桜学園という中高一貫のミッション系の女子校を志望した主人公・夏草。
憧れていた学校に通えることになったのに、ある日おばぁちゃんが倒れ、13歳の頃に戻ってしまった。

 自分と同じ年だと言い張るおばぁちゃんと一緒に暮らすうち、おばぁちゃんの言った「罪」が気になりだす。
こんなに長い間秘めていた罪とはなんだったのか。

 ゆっくり丁寧に書かれているけど、それほど意味もない。

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或るろくでなしの死


2012年11月02日 読了
 7人の人たちがむかえるいろんな死。
人はいろんな死に方をする。

 それぞれは短い話だけど、強い何かを残す。
怖さだったり哀しみだったり。
ホラーに近いので想像するのがとても恐ろしい。

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2012年10月30日 読了
 江戸時代、身分ある者達が庶民の生活を覗き見るために、それを再現した偽の宿場町。
 それは精巧に作られたおもちゃと言える。

 とある藩士の時代、そこに本物の庶民を暮らさせた。
そこに住む人々は、通常は普通に生活をしつつ、藩公や賓客の場合にはすぐさま姿を消さなければならない。まさに蛻の空に。

 籠の虫のような生活の中で、住民が殺され、人々が隣人さえも恐れるようになる。

 静かに細く息をしなければ生きていけないような世界で、突然精神の切れる音を聞くような、じわりと恐ろしい物語。
派手ではないし、始めは読みにくいと感じるけれど、投げやりにならないで見るべきものを見た者たちの強い心が伝わってくる。

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県庁おもてなし課


2012年10月28日 読了
 観光立県をめざし、「おもてなし課」を作ったはいいが、まず何をする?
なにかにつけゆるい公務員の思いつきに、「観光特使」となった作家はあきれ返る。
いいたい放題にこきおろされた課の面々は、民間との意識の差を思い知らされて戸惑いながらも、もっともな意見に頷かざるを得ない。

 有川さんお得意の甘い恋愛模様もしっかりありながらも、やはり辛口から入る。
地元への思い入れと批判をきっちり書き出してはいるけど、最後の大詰めにあたる結論は、ちょっとインパクトがなく物足りない。
そこは事実に基づいた結果を採用したからなのかもしれないが、小説という場なら、もっと大きな「観光」を打ち出せたはず。
 話題になったわりにはフェードアウトした感があって消化不良。

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ブラバン


2012年10月27日 読了
 四半世紀を過ぎ、高校時代の吹奏楽部を再結成させようとする。
1人の仲間の結婚式の余興にと、バンドを頼まれた語り手であるタヒラの回顧録と現在が交互に進む。

 この前に読んだ本は面白かったのだが、こちらはだらだらと進むばかり。
きっと仲間内では楽しい話なのだろう。

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神渡し


2012年10月26日 読了
 幼馴染の利吉がおかしな死をとげた。同じ読み売りの仕事をしていた才助は、そのことを面白おかしく書きあげた瓦版に怒り、その記事を書いた元武士である青山孫四郎のところに怒鳴りこんだ。
 利吉の死を不信に思って調べ始めた矢先、才助は何者かに襲われるが、利吉の死と共に沸きあがった疑問を探るべく、孫四郎と共に謎に迫る。

 読み売りが元武士と対等に口げんかをしつつ、時にハッタリをかましながら謎を解いていく。
身分の違いを軽く流す才助の切り返しは鮮やかで心地よい。
 最後は思いもよらない大事へと発展し、歴史上の大事件につなげてしまった。
 あっけにとられている間にさらりと終わり、才助に一杯食わされたような、気持ちのいい終わり方をする。

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恋都の狐さん


2012年10月24日 読了
 女子校育ちで20年間彼氏なしの女子大生が、恋のご利益があるという東大寺二月堂での節分の豆まきに行った。
 そこで、狐のお面を被った着流し姿のおかしな男に出会う。

 その出会いは、一生忘れえない、特別な出会いとなった。

 舞台である奈良の、伝統や儀式にまつわる話は詳しくて興味深かったけど、それ以外では目を惹くものはない。
キャラクターも突飛に書かれているため共感もできず、最後はただ怖気づいて逃げる理由をこじつけただけ。
残念。

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