名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ


2013年02月08日 読了
 小蔵屋のお草さん、3作目。
小蔵屋で売っている珈琲豆を仕入れているミトモ珈琲商会が代替わりをすることになり、仕入れに不安を感じたお草さんは、社長に相談に行く。
 さらにお草さんの住む町で、産地偽装の疑いのあるスーパーを取材する萩尾と関わる。萩尾の民俗学の師匠である勅使河原先生と、その娘の美容師・ミナホとも言葉を交わすうち、解決できない過去を知り、やりきれないお草さんは若い人たちの心を少しでも軽くしようと立ち回るが。

 お草さんの言葉や行動には、今まで通りの思いやりと戒めがあるが、お草さんが気付いたり考えたりしていることに関しては、いまいち納得できないくらいとっぴょうしもなく進む。根拠やきっかけをもう少し丁寧に書いてあれば、きっとお草さんの思いは通じたのに、と思う場面も多くて、残念だった。

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真夜中のフーガ


2013年02月04日 読了
 シリーズ第3段。自分の名前の人物が死んだ。
新聞で見つけたかつて自分だったその名前の人物に、少しの興味も持たない奴はいないはず。
気まぐれにそいつが死んだ場所をふらついていたために、勉は出会いたくもない人と出会うことになる。
 
 前作でメンバーが死に解散したはずだったチームが、新しいメンバーを招き入れていて、今度はつまらない問題を投げつけられる。
関わるうちに関係者が増え、問題が増え、甘えた若者に振り回される羽目になる勉。
 若者たちの、考えのないその場限りの思いつきな行動に腹を立てていたはずの勉が、最後はやけ気味に同じような事をしてしまうのは、もうすべて断ち切りたかったからか。

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維新銃姫伝 – 会津の桜 京都の紅葉


2013年02月01日 読了
 『幕末銃姫伝』に続く山本八重の半生。
会津開城から、八重の長い戦いが終わるまで。
 作中何度も出てくる「報復」という言葉が、八重のすべての思いを包んでいる。
何度もすれ違いながらどうしても届かない恋も、切なさを増長させた。

 兄の覚馬があまりにも優秀すぎるような気もしたが、それはそれで史実なのだろう。
参考資料の多さに驚く。

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仁木兄妹長篇全集―雄太郎・悦子の全事件〈1〉夏・秋の巻


2013年01月30日 読了
 江戸川乱歩賞の第一号。
ヤセでノッポの植物学者・雄太郎と、太めでチビの音大生・悦子が、間借りをしているところの近くで事件が起こり、警察よりも早く犯人にたどり着く。
推理は大抵兄のほうで、妹はちょこまかと口出しをする。
高感度No.1の探偵と言われているが、やたら長い作品で、かといって削れるような部分もなく、不思議な存在感を持つ。
 手掛かりはすべて作中に出すという、「後だし」がないせいか、すっきり読めた。

竜が最後に帰る場所


2013年01月24日 読了
 渦巻く風や、冬にだけ行ける明日、砕ける者たちや本能。
一つのアイテムから次々に想像を膨らませて、現実ではないことをへどんどん歩いて行くような、5つの物語。

 想像だけで、根拠や理屈は全く無視した話が続き、他人の夢を覗いているよう。
でもどれも少し闇がある。
「夜行の冬」が一番面白かった。

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迷宮のファンダンゴ


2013年01月22日 読了
 『水上のパッサカリア』続編
主人公の勉がアメリカのキャンプにいたころ、初めて抱いた女であるマリアンが、日本に来ていた。
交通事故に巻き込まれ入院しているというニュースを見て、一度のつもりで顔を見に行ったのだが、その直後、彼女は病院から姿を消す。

 相変わらず一文が長くて読みにくい面もあるが、勉の頭の中の流れがよくわかる。
誰しもそう論理的に考えを巡らしているわけではない。
巻き添えを食う形でまたもやハードボイルドにはまる勉。
慣れてしまえば入りこめるが、好き嫌いが激しく出そうな作品。

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西の魔女が死んだ


2013年01月20日 読了
 中学に入って学校に行けなくなった主人公のまい。
少しの間、おばぁちゃんのところで暮らすことにしたまいの、「魔女修行」の優しい日々。

 本屋に行くたび目が行っていた本。
映画を先に見たせいか、ずっとその映像と共に進み、その風景を文章がもっと深めた。
やっぱり素敵な物語だった。

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漱石先生の事件簿 猫の巻


2013年01月18日 読了
 英語の先生である漱石先生のところで、書生をすることになった主人公。
先生はかなりの癇癪持ちで変人、訪ねてくる友人もおかしな人ばかり。
そんな中、探偵小説好きの書生は、先生の家で起こる怪事件を推理する。

 あの有名な書き出しを、知らぬ人はいない。
その漱石先生の家で起こる、名前のない猫も巻き込んだミステリー。
パロディとして、こんなに上手におもしろく話がまとまるとは。
大きな謎でも事件でもないけど、それぞれの個性がとてもよく出ていておもしろかった。

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カンパニュラの銀翼


2013年01月14日 読了
 第2回アガサ・クリスティー賞受賞作。
裕福な貴族の身代わりとして大学に通うエリオット。
ある日美しい若者シグモンド・ヴェルティゴが現れ、そこからエリオットは、貴族の血に潜む神の呪いを追いかけることとなる。

 いくつかの代をまたぎ、血の濃さと時間に繋がれたシグモンドと、もう一人の人智を超えた存在のベネティクト。
哲学と言葉遊びとを使って、まるで数世紀前の英国の小説のようで没頭できた。
冒険小説のような余韻も残って、いろんな要素が味わえる。

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ZONE 豊洲署刑事・岩倉梓


2013年01月12日 読了
 東京都江東区豊洲にある豊洲署の生活安全課の刑事・岩倉梓のところにやってくる仕事は様々。
 ネグレクトや詐欺、孤独死などの、一つ一つは事件になるかならないかといったことばかり。自分に自信がなく、気落ちしがちな梓は、事件性がなくて早く切り上げるべきそれぞれの問題を、追及してしまう。

 同僚は大きな事件の担当をしているのに、梓がいま携わっている問題は小さなことだと焦ったりしながらも、気になることを放ってはおけない。
それが功を成す彼女をしっかりと見つめる上司。
 大げさな煽り文句があったけど、割と普通な刑事ものだった。

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