毒よりもなお


2019年05月15日 読了
 都内でカウンセラーとして働く美谷千尋。図書館の一角を借りて、ボランティアでカウンセリングをしていた。
そこへ、自殺志願の女子高生がやって来る。
 その相談が、かつて千尋がカウンセラーを目指した頃に出会った、ヒロアキを思い出させる。

 今までと違ったものを、という作者の言葉通り、雰囲気はだいぶん違う。
これからどうなるのかとどんどん読み進められるが、最後になって混乱する。
それがすんなりと納得できずに終わるため、消化不良でモヤモヤしたままだ。
読者に判断を任せるというより、どうにでもなれといった雰囲気を感じた。
ここまで人物をしっかり固定してきたのに、「夢オチ」と似た感じで唐突に終わる。

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立川忍びより 忍ビジネスはじめました!


2019年05月10日 読了
 忍者一家・藤林家に居候し、いくつも仕掛けられる罠もよけられるようになった頃、元カノの悩みにいくらかの解決を示す手伝いをしたことをきっかけに、困っている人を助ける何でも屋「忍ビジネス(しのびじねす)」を始めることにした。
 そしてかつて自分が在籍していたブラック企業の同僚を助けるに至り、多聞はまた自信をつける。

 仙人の次は忍者。でもこちらはなんだか胡散臭い。
軽い語り口だけど、今風の設定に忍者のあり得ない技が絡むと違和感が大きい。
悩みや困りごと解決ならもう少しリアルでしっかり土台がわかった方が説得力がありそうだけど、この軽い雰囲気で何でもアリにするのも想像が膨らむのか。

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発現


2019年05月09日 読了
 昭和と平成、二つの時代で起こる、気も狂わんばかりの幻覚。
母が、その恐ろしい幻覚に悩み自殺。兄も、憔悴しきっている頃、主人公の私にも見え始める。ただ一人見えない父が、どうにかして原因を探ろうと動き始める。

 死んでいることがはっきりとわかる少女と、襲い来るヒガンバナという、いかにもホラーな幻覚。
父の理解ある言動で少しづつ過去を手繰る3人。
ホラーだけど気持ち悪いわけではないので次が気になる。
でも昭和と平成ヲ行ったり来たりしているために、人物がつかみにくい。
結末も放り出したようにブツリと終わり、なぜ登場人物はそこで納得できるのかがわからない。もう少し丁寧な描写がほしかった。

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つくもがみ笑います


2019年04月25日 読了
 付喪神達がさらわれた。どうやら世直しをもくろむ他の付喪神のところにいるらしい。よその家の付喪神と出会ったことから、200年前の江戸へタイムスリプした彼らが見た景色とは。

 商家の付喪神達が、江戸で流行っている興行の親分と出会う。
自らを悪の親分という久徳屋の主が面白いキャラクター。
いい年のおとなで、店の主で悪人顔なのに、付喪神が大好きで、武家の天井裏に潜んだりと奇天烈。彼のおかげで楽しくなりそうだと思えるが、付喪神の登場人物が多すぎてややこしい。

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悪魔と呼ばれた男


2019年04月13日 読了
 被害者の共通点もなく、殺害方法もバラバラ。
一見関連のない殺人事件だと思われているが、ただ一つ、悪魔の象徴である逆さ五芒星が刻印されていることだけが共通点だった。
特殊犯罪捜査室と名付けられた3人だけの部署で、天海は「悪魔」と名付けられた殺人犯を追う。

 いくつもあるシリーズのように、簡単に読めてどれも印象に残らないようなラノベとは違う雰囲気。それでも登場人物の一人はやはり特殊な能力があった。ただ、他と違ってどこまでも都合の良いものとは違っていて、ジワリと追いつめられる恐怖が感じられた。

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エムエス 継続捜査ゼミ2


2019年04月09日 読了
 警察を退官し、女子大の教授となった小早川は、そこで継続操作のゼミを担当する。
文化祭が近づくころ、ミスコン反対の中心人物とされる高樹晶が何者かに襲われ怪我をする。
小早川は、犯人と決め付けられ、警察の尋問を受けることとなる。

 今までは警察側として、被疑者を追い詰めていた小早川が、逆の立場になった様子が詳しく書かれている。小早川を犯人にしようとする小滝の執拗さが不可解なほど。
それでもゼミ生たちのおかげで意外なところから犯人がわかり、ここまで引っ張ったのにあっけないと感じるほどだった。
これまでの刑事モノとは一風変わっていて面白い。

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黒猫/モルグ街の殺人


2019年04月06日 読了
 動物が好きな私。妻はそれを知って愛らしい小動物をいくつも飼うようになった。しかしいつしか私は衝動を抑えられなくなり、やがて妻にまで暴力を振るうようになった。

 言わずと知れた「黒猫」。何度か読んだはずなのにいつも最後までそれを忘れていて、結末まで読んでは、あぁそうだったと思いだす。
タイトルの2作品と、「早すぎた埋葬」しか印象に残らない。
160年も昔に罹れた物語でも、今なお新鮮に読めるのはすごい。

黒龍荘の惨劇


2019年04月04日 読了
 山縣有朋の別邸・黒龍荘で、金庫番である漆原安之丞が謎の死をとげた。
調査依頼を受けた探偵・月輪と杉山潤之助が邸に住み込んで調査をするが、館の住人がわらべ歌になぞらえて次々と殺されていく。
月輪は懸命に捜査をするが、犯人の影さえつかめない。

 このシリーズを一つ読んだと思うが、全く記憶にない。
探偵の月輪は自信家で、何があってもめげず、次々と手をかgな恵だし打って出る様子は飽きさせない。
そして最後の思いもよらない結末。まさに惨劇というにふさわしい。
館の住人の誰もが、どこかおおきな恐怖を抱え、何かにおびえているといった印象からここにつながったのは意外だった。
ただ、主人公の杉山潤之助の印象が薄すぎる。

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ひかりの魔女


2019年04月01日 読了
 浪人生の真崎光一の住む家に同居することになったばあちゃんは、もう八十五くらい。でも頭も体もシャキッとしていて、地域の人たちにやたらと尊敬されていた。昔、書道教室をしていたせいだというばあちゃんだけど、光一は他にも理由があると気づく。

 人を誉め、気持ちよくさせるとこの天才なばあちゃん。
心を亡くしそうな人たちに、そっと気づかれないように嘘をついて癒し、不自然で必要以上なくらいに尊敬されていた。
一見、できた人のように思えるが、私には奇妙に映った。
安心させる嘘とか、気を奮い立たせる嘘ならいいが、わざと腰をかがめて痛いふりをしたりする嘘も含まれるから。
結局いい方に流れてはいるものの、誰もが自分が一番だと思わせるのは、詐欺師のよう。
同じ魔女でも『西の魔女が死んだ』とは大違い。
嫌悪感の方が大きかった。

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有楽斎の戦


2019年03月29日 読了
 織田信長の弟でありながら戦が嫌いで、できれば茶の道で静かに生きたいと願う織田源五郎。
彼はどうやって数々の戦を生き抜いたのか。

 たいした手柄も上げられず、戦とは関係ないところで怪我をする源五郎。
そんな彼が戦に駆り出されて毎回弱気になりながらも、すんでのところで助けられるところが描かれる。余生は静かに茶をたてながら過ごし、息子からの提案に嬉々とする有楽斎の様子が微笑ましい。
でも戦ばかりの話は私には少しつまらなかった。

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