明治16年、身内を相次いで亡くした大阪の古物商の娘・花岡イカルは、遠い親戚を頼り東京へやってきた。
そこで出会った少し年上のトヨと仲良くなり、彼女と訪れた博物館で館長に目利きの才を認められ、博物館の古蔵で怪異の研究をしている織田賢司(= 通称トノサマ)の手伝いをすることになる。
トノサマの指示で蔵の整理を始めたイカルは、帳簿と収納品の称号が合わないことに気づく。
紛失したのは黒手匣というものだった。
目利きを見込まれたイカル。
だがその目利きから、横流しされた品を街で見つけてしまい、事件に巻き込まれてしまう。
だがトノサマの家の使用人であるアキラに助けてもらいながら、事件を追うイカルの言動が勇敢で頼もしい。
ヒトが起こした盗難事件と、不思議なままの出来事が上手く重なり合い、最後はほんわかした気分で読み終えた。