アルテーミスの采配


2017年03月29日 読了
 フリーのルポライターである名賀尻は、あるドキュメンタリー出版物のインタビューをしていた。
短い命のAV女優達を追い、素顔を引き出すのが腕の見せ所で。

 今の自分の立場、それが運命だと思っていても、本当は何者かによって仕組まれたものだったとしたら。

 最初から最後まで「胸糞悪い」話だった。
ちょっとした悪戯で心を殺され、人生を狂わされた女の、最大級の知恵を使った復讐。
 視点があちこちに飛び、登場人物が区別しにくいのでわかりにくく、関係性を把握するのに手間取る。
舞台が苦界のせいか辛い話が多くて救いがないし、悪だくみをした者が制裁も受けないので後味も悪い。まだ続くと思わせる恐怖はホラー映画のよう。

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明治・金色キタン


2017年03月25日 読了
 「明治・妖モダン」シリーズ第2弾。
銀座の派出所勤務の巡査たちは、今はもう知る人も少ない怪しの者たち。
彼らが今回出くわしたのは、明治の世へと移り変わる中で捨て去られた小さな集落の物語。

 妖がたくさん出てくる割にはなんだかぱっとしない。
大きなことに絡んでいるようで印象は薄いし、「しゃばけ」シリーズと「若様組」シリーズの曖昧なところを寄せ集めたような2番煎じ感。

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バチカン奇跡調査官 楽園の十字架


2017年02月15日 読了
 休暇を取るように上司から命令されたロベルトと平賀。
代理で出席した式典の帰り、そのままカリブ海のクルーズで休暇を過ごすことにした二人だが、その舟の前に、突然巨大な十字架が出現した。
 さらに次々と死人が出る事態となり、二人は休暇を辞めて調査に入る。

 逃げ場のない船上で、奇跡と殺人事件という二つの謎に立ち向かう二人。
今回は奇跡調査よりも事件調査がメインで、最後は悪がそのままに過ごされてしまうというすっきりしない終わりとなった。
次回への布石とするには後味が悪く、期待が膨らむようなネタもでてこなかったので残念。
ローレンの名前が出てきたくらいか。

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町長選挙


2017年01月21日 読了
 伊良部一郎、第3弾。
特に何もしていないのになぜか問題が解決している不思議な神経科の医師。

 だけど今回はなんだか消化不良。
なんだこれからもこのままなのか、というような終わりがいくつかあり、まるで途中で飽きてしまったかのような終わり方。
タイトルの「町長選挙」も、不愉快な場面ばかりで結局そのまま。
伊良部の天啓の様なセリフはいくつか出てくるし、今回はマユミも核心をつくが、それよりも曖昧さが大きかったためか満足感は少なかった。

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幻影たちの哀哭


2016年12月22日 読了
 昭和十七年五月、空襲により負傷した亀島伊介海軍一等兵曹は、軍令部特別班への転属命令を受ける。
畑違いの防諜活動に戸惑いながらも、しだいに熱が入り始める亀島だが、先を読んで裏切り、狙った相手を思いのままに動かし、自分たちの都合がよいようにと目論む周りに混乱していく。

 スパイや裏切りということにすれば、どんなことでもこじつけられるような進め方で、自分の信じることすら嘘にされそうなところに嫌悪感が湧く。
スパイものとしては、柳広司のシリーズのほうが数倍おもしろい。

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終末のフール


2016年12月03日 読了
 8年後に小惑星が地球に激突し、世界は滅びると発表されてから5年。
パニックや自棄になった人々が暴れた時期を過ぎて小康状態となった頃、あるマンションの住人たちの生活を短編で綴る。

 慌てふためく時期を過ぎた人々は、何を思って生きているのか。
親がいなくなった子供たちや、息子夫婦が孫を連れて心中してしまったおばぁちゃんなど、身近な人の死を受け入れたら、人は似てくるのかと思うほど、それぞれに個性がない。
どれも同じテンションで、誰の目線からも同じくらいの温度しか感じないため、面白みがない。

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異類婚姻譚


2016年11月14日 読了
 芥川賞受賞作品。
人間じゃないものと結婚したという女性たちの話。
奇妙で、でもそれほど悲嘆してはいない彼女たちが、どんな日常を送っているのかを淡々と描く。

 奇妙さではかなり面白い発想だけど、設定だけがあれば伏線も意味もこじつけも解決も謎も盛り上がりも何もない。
どこでも適当なところで終われるような話。
自分自身や、結婚ということを考えるために当てはめることはできるけど、物語としては評価できない。

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サラバ! 上


2016年11月06日 読了
 父の赴任先のイランで生まれた歩が、天真爛漫な母と、自己顕示欲が強い姉、普通の感性を持っている父との日々を描く。

 イランでの革命で治安が悪くなり、日本に戻って小学校に入り、その後中学になり、彼女ができ・・・・、ただ歩の成長を淡々となぞる。
日記というか、歩の頭上の定点カメラの映像をただ見ているような感じ。
特に盛り上がりもないために飽きる。

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サラバ!(上) [ 西 加奈子 ]
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マル暴総監


2016年11月04日 読了
 チンピラが睨み合っているという報告を受け、臨場した北綾瀬署のマル暴刑事・甘糟。
どうやらお互い引き際を見計らっているようなので見守っていたら、白スーツの人物が割って入ってきた。
 そして翌日、睨み合っていた人物の一人が死体で発見される。

 いつもより砕けた感じの文で、キャラクターが引き立ってるわけでもなく、出来事もどうってことない。緩い感じの言葉がよけいに軽く見せている。
もう少し内容があればいいのだけど、これではコマーシャル程度の素通り感。

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マル暴総監 [ 今野敏 ]
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ラプラスの魔女


2016年10月26日 読了
 警備会社の契約を切られた武尾は、ある女性のボディーガードをしてほしいという依頼を受ける。
その女性・円華と共に行動するうち、武尾はおかしなことに気付く。

 読みやすく、厚さのわりにあっさり読める。
通常は考えられない屋外の温泉地で硫化水素での事故死が続き、連続殺人事件が疑われるなど、興味を引く設定でもある。
しかし内容はどんどんオカルトに寄っていき、先の展開がわかってくるととたんにありふれてくる。
暇つぶしにはなるが、特に印象に残る本でもない。

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