我が家の問題


2017年01月31日 読了
 我が家の、ささやかな問題。
『夫は仕事ができないらしい』と気づいた妻が、会社で嘲笑される夫をなんとか元気づけようとする。
新婚なのに家に帰りたくない夫や、急にUFOが見えると言い始めた夫など。
 大事ではないけど、家族にとっては大問題な出来事を、深刻にならずになんとか解決しようとする家族の話。

 みんなすごく前向きで、そんな方法もあるのかと思わず唸る。
大げんかになったり、離婚にまで発展するんじゃないかというような事にも、ちゃんと向き合う主人公たち。
それがとても面白い解決法で、嘘くさくならずに明るく行動する人たちばかりで、根本的な解決じゃなくても、いい方向へ向かって行けるんじゃないかと思わせる。
気分が明るくなる。

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ジェリーフィッシュは凍らない


2017年01月26日 読了
 第26回鮎川哲也賞受賞作
航空機の歴史を変えた小型飛行船“ジェリーフィッシュ”のテスト飛行中、乗組員全員が死亡するという事故が起こった。
開発者も技術者も死亡したため、軍事秘密である“ジェリーフィッシュ”には謎が多く、事故機は軍があっという間に回収していったため証拠も少ない。
 
 王道のミステリー。
いくつもの死体があり、つじつまが合わない事象が多く、秘密も多い。
解り易いミステリーだけど、面白くて一気に読んだ。
“ジェリーフィッシュ”の神秘性がまた魅力的。
最後がちょっと納得いかない。

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上流階級 富久丸百貨店外商部II


2017年01月18日 読了
 上流階級第二弾!
富久丸百貨店の外商員として仕事が面白くなってきた主人公の鮫島静緒。
ゲイの桝家とのシェアは続いているが、そろそろ期限の1年が迫ってきていた。
 そんな時、桝家の実の母だという女性が訪ねてくる。

 今度もてんやわんや。
桝家の家の揉め事に巻き込まれそうになり、また仕事で提案した企画が通ってしまったりと、今度も息をつくのも忘れて読み切った。

 よくあるお仕事モノとはちょっと違う雰囲気を纏っているので、「またか」というガッカリ感がない。
途中、考えさせられるところが多いので何度も読み返した。

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空中ブランコ


2017年01月16日 読了
 変人伊良部医師再び。
ベテランの空中ブランコ乗りが、突然飛べなくなった。
「きっと新しくやってきた奴が嫌がらせしてタイミングをずらしているんだ。」
そんなことを訴えたら病院へ行けと言われてしまう。

 今度もぶっ飛んだ伊良部に苦笑いが漏れる。
個人的には夜な夜な「点」をうちに街をうろつく話が楽しかった。
完全に犯罪だけど、どこか子供の悪戯感があるのは伊良部だから。
前作より注射への変質的な執着の描写は少なかったからか、伊良部がもっと子供に見えた。

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五弁の秋花: みとや・お瑛仕入帖


2017年01月12日 読了
 なんでもかんでも三十八文の「みとや」を営む兄・長太郎と妹・お瑛。
ある日、店じまいする絵双紙屋から引き取ってきた本に挟んであった錦絵に、お瑛は既視感を覚えた。
忘れていた幼い頃の記憶がよみがえるような感覚に、お瑛は心細くなる。

 極楽とんぼの兄だが、仕入れてくる物は良い物で、周りで起こる困ったことにもするりと入り込んでいつしか解決している。
そんな兄に振り回されているようで励まされているお瑛も、ちゃんと自分の足で立とうとする力強さが頼もしい。
錦絵の疑問もちゃんと解けるが、そんな絵がお瑛のところにやって来たのはただの偶然なのか縁なのか、できすぎのような気もして気になる。

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五弁の秋花 みとや・お瑛仕入帖 [ 梶 よう子 ]
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復讐屋成海慶介の事件簿


2016年12月23日 読了
 男に騙されたあげく、会社も辞める羽目になった神戸美菜代は、復讐を請け負う人がいるという噂を聞いて訪ねていく。
ところが、お金がないとわかると冷たく追い出されてしまった。
当てもない神戸は、元秘書をしていたスキルで成海の事務所に居座ることにした。

 イケメンだけどぐうたらで、ろくに仕事らしいことはしてないように見える。
そのうえ金がないと話も聞いてくれない成海。
さらには依頼を受けてもなにもしないというのに、印象は良く、依頼人はとても感謝する。
どの話も嫌な感じはなく、あっという間に読めてしまった。

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イン・ザ・プール


2016年12月12日 読了
 伊良部総合病院の地下にある神経科で待っているのは、色白で太った精神科医・伊良部一郎。
彼は、一見病気だとは思えないおかしな困りごとを持つ患者たちを診る。

 やって来る患者もおかしな奴らなら、伊良部も相当おかしい。
患者の方が伊良部に振り回されるうえに、治療らしいことは少しもやっていないのになぜか症状は改善していく。
煙に巻かれたような気分でするすると進み、もう少し読みたいと思うちょうどいいところで終わる。
続きがあるようなので是非読みたい。

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恭一郎と七人の叔母


2016年12月08日 読了
 恭一郎には7人の叔母がいる。それはとてもとても個性的で、強かで優しい叔母たちだ。
その7人の叔母について、恭一郎は同年代だと思われる女性に話して聞かせる。

 登場人物が多くて混乱しそうだと思ったのは最初だけ。順番に語られる叔母たちの様子はとても興味がわき、そしてかなり個性的だった。
 今までの小路幸也の作品では、ただひたすら優しく穏やかで、そしてどれもよく似ていて、区別がつかないせいかすぐに忘れてしまうようなものばかり続いていた。
でも今回は、叔母たちと同様個性的だった。
叔母たち本人は一度も出てこず、恭一郎の話の中だけなのに、恭一郎が一番存在感が薄いという不思議な状況となる。

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恭一郎と七人の叔母 [ 小路幸也 ]
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継続捜査ゼミ


2016年12月06日 読了
 警察を定年退職した小早川は、友人が学長をしている大学に再就職した。
そこで教えるのは、刑事政策。
5人のゼミ生と共に、15年前の強盗殺人事件を追う。

 今までは現役の警察官の話ばかりだったが、今度は退官した警察官のノウハウを使った講義。
学生たちの質問が素人代表として新鮮だが、皆それぞれ得意分野があり、間にちょっとした学内の事件まで解き、割と盛沢山だった。
軽く読める割に満足感が大きい。

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お台場アイランドベイビー


2016年10月28日 読了
 第30回(2010年) 横溝正史ミステリ大賞受賞
刑事を辞めて、ヤクザのシノギに協力することで報酬を得ながら暮らしていた主人公の巽。
ある時見つけた不思議な少年が気になり、つい世話を焼くようになってから、少年を巡る諍いに巻き込まれる。

 近未来、地震により崩壊したお台場を舞台に、無国籍児をめぐって権力への戦いを挑んだ巽が、品のない言葉使いや荒っぽい振る舞いにも関わらず、なぜか憎めないキャラとなっている。荒廃した地に紛れ込んだ子供たちというありふれた設定で退屈するかと思ったら、だんだん目が離せなくなり一気に読み終えた。
 そして、すべて丸く収まるハッピーエンドとはいかないあたりが、うすら寒いリアルさを出していて白けずにすんだ。

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お台場アイランドベイビー (角川文庫) [ 伊与原 新 ]
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