古手屋喜十 為事覚え


2013年12月09日 読了
 古手(古着)屋をしている喜十のところには、なにかと都合よく喜十を使う北町奉行所隠密廻り同心の上遠野平蔵が今日もやってくる。
ある日不自然なほどの量の血がついた着物を持ち込んできて、事情を知っている人を探せと言う。

 上遠野に使われ、ろくに銭ももらえない喜十がしぶい顔をしても、妻はにこにこ。
そんな二人の様子は微笑ましいが、上遠野と喜十のやりとりはあまり気持ちのいいものではない。
上遠野への喜十の思いのマイナスな雰囲気にこちらも気持ちを引きずられてしまう。
連作のようなので、今後二人の関係がどうなるのかは少し楽しみだ。

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こちら警視庁美術犯罪捜査班


2013年12月07日 読了
 美術品にはさっぱり興味がなかった新米刑事の三田村豪気が配属されたのは警視庁捜査二課美術犯罪捜査班。
美人の上司と二人きりの班だが、犯罪すれすれのセールスをしている美術品販売会社をさぐる。

 変わった専門をもつ警察組織の話として美術品を扱う小さな部署。
目を付けた会社の社長は上司とかかわりのある人物で。

 専門的な話はおもしろいけど、かなり意図的に変えてある部分もあって、どこまでが本当か調べるのもおもしろい。

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あやかし草子 みやこのおはなし


2013年12月07日 読了
 京都に伝わる昔話。あやかしに惑わされ、呑まれ、助けられる。
人と関わることであやかし達も様々な感情を知る。

 龍や座敷童など、良く知っているもの達と人間の物語で、幸せなものばかりではないけど懐かしいぬくもりがある。

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蔵盗み 古道具屋 皆塵堂


2013年12月06日 読了
 15年務めてきた小間物問屋を、濡れ衣を着せられて首になった益治郎。恨みを募らせる益治郎は、甚左という名うての盗人に声をかけられる。
その甚左から、ある店に奉公に入り内情を探れと言われてもぐりこんだところは、店のなかはガラクタでいっぱいの汚い古道具屋だった。

 皆塵堂に新しい働き手がきた。
なぜか店で一番えらい猫と、裏表の激しい小僧、そして今まで皆塵堂で働いてきた人たち。
全部入り混じってまたおかしな事が起こる。

 それでも最後はきっちり収まるところに収まり、気持ちよく読み終えた。

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摘出―つくられた癌


2013年12月03日 読了
 右の乳癌の手術をするはずが、左を切ってしまった。
仕方なく、予定通り右も切り取り、左にも癌があったということにしたが。

 単純な左右取り違えミスのせいで両方の乳房を失った女性のもとに、告発文が届く。
しかしどうやらこれはただのミスだけではなく、院内の人事をめぐる罠でもあった。

巧妙に仕組まれた罠というわりには、どうも安っぽい。
複数の医療関係者が不審に思い、検証もできるような部分で全く対処されてないのは「巧妙」とは言えない。
調べればすぐにわかるDNAの違いを考えもせず軽はずみに仕掛けるうえ、そこを都合よく避ける流れにがっかり。

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怪盗探偵山猫 鼠たちの宴


2013年12月01日 読了
 『悪党から金を盗み、その悪事を暴く窃盗犯がいる』
そんな噂を聞いた者が、こっそり惹きつけられるようにその店へやってくる。

 祭りの露店で売っているようなお面をかぶって素顔を見せない「山猫」が、悪党をこてんぱんにやっつけてから金を奪っていく。
あっさりしていて読みやすい。

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殺しも芸の肥やし 殺戮ガール


2013年11月30日 読了
 遠足で女子高生30人が乗ったバスが突然行方不明となる。
ある小説家が書いたものを自分のものとしてを発表しようとしていた編集者が殺された。
おかしな事件が続き、それを調べようとした人もだんだん消されていく。

 ブラックユーモア、サイコホラー。
少しづつ暴かれていくものの、ぎりぎりでかわされ逃げられる。
そして追う人が様々に入れ替わっていく。
 解決しないところがまたうすら寒い後味を残す。

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黒猫の刹那あるいは卒論指導


2013年11月29日 読了
 『黒猫シリーズ』学生編。
美学科に在籍する「私」は卒業論文に苦悩していた。
そんな時、唐草教授のゼミに突然加わった黒いスーツの同級生。

 黒猫のあだ名がついた瞬間。「私」との出会い。
教授になっている黒猫より少し口が悪い分、「私」に対する優しさもわかりやすい。
早く読みたいけど、読み終わるのがもったいなくて一文字も逃すものかと思って読んだ。

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修羅ゆく舟


2013年11月23日 読了
 鬼のような顔つきの、豪胆な蘭方医玄齋の下で、二人の女が生きる。
玄齋の弟子の妻だった沙穂は、流行り病で夫を亡くした後も玄齋のところで働いていた。そんな玄齋の元へ嫁いだ2歳年上の叔母・千草との関係が、玄齋が蝦夷地へ旅立ってから急速に壊れ始める。

 疱瘡撲滅を願う玄齋と、玄齋を慕う2人の女の物語。

 先に読んだこの人の本も、どうしようもないものに翻弄される女たちの生き様が絞り出されるように書かれていたのが印象的だった。
今度も息苦しくなるような結末だったけど、読後感はさわやか。

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神の狩人 2031探偵物語


2013年11月22日 読了
 2031年、都市はオゾンホールからの有害紫外線を遮断するために人工的に作り上げられた雲によってドームのように覆われ、食べ物はすべて工場で作られる。

 そんなに遠くない未来の設定だけど、生活はもっと未来の、ファンタジーの世界。
そこで探偵をしているサラに、生き別れた姉を探してほしいという依頼が入る。

 実際に起こった過去の出来事から続く未来には、こんなことも起こりうるのかもしれない。
でもちょっと突飛すぎた。いつか続編を出すつもりのようで、探偵はまだ謎にたどり着けていない。

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