2016年12月06日 読了
警察を定年退職した小早川は、友人が学長をしている大学に再就職した。
そこで教えるのは、刑事政策。
5人のゼミ生と共に、15年前の強盗殺人事件を追う。
今までは現役の警察官の話ばかりだったが、今度は退官した警察官のノウハウを使った講義。
学生たちの質問が素人代表として新鮮だが、皆それぞれ得意分野があり、間にちょっとした学内の事件まで解き、割と盛沢山だった。
軽く読める割に満足感が大きい。
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読書と手芸の記録
2016年12月06日 読了
警察を定年退職した小早川は、友人が学長をしている大学に再就職した。
そこで教えるのは、刑事政策。
5人のゼミ生と共に、15年前の強盗殺人事件を追う。
今までは現役の警察官の話ばかりだったが、今度は退官した警察官のノウハウを使った講義。
学生たちの質問が素人代表として新鮮だが、皆それぞれ得意分野があり、間にちょっとした学内の事件まで解き、割と盛沢山だった。
軽く読める割に満足感が大きい。
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2016年12月03日 読了
8年後に小惑星が地球に激突し、世界は滅びると発表されてから5年。
パニックや自棄になった人々が暴れた時期を過ぎて小康状態となった頃、あるマンションの住人たちの生活を短編で綴る。
慌てふためく時期を過ぎた人々は、何を思って生きているのか。
親がいなくなった子供たちや、息子夫婦が孫を連れて心中してしまったおばぁちゃんなど、身近な人の死を受け入れたら、人は似てくるのかと思うほど、それぞれに個性がない。
どれも同じテンションで、誰の目線からも同じくらいの温度しか感じないため、面白みがない。
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2016年12月03日 読了
巡査になった若様組。
真面目に日々仕事に向かっている若様達だが、にわかに不穏な空気が漂いだしてきた。
成金のひとりである小泉琢磨は、日本は戦争になると予言し、それを抑えるべく仲間を集め始め、その一つの手として若様達に縁談を進めてくる。
若様達が次々に見合いをする。
登場する女学生も華やかで個性的だが、やはり小泉の娘・沙羅はとびぬけていた。
次々と騒動が起こるのは「しゃばけ」シリーズでも同じだが、人数が多い分こちらは多彩。
戦争が起こった時、小泉や若様組はどうるす?
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2016年11月30日 読了
亡くなった父が大事にしていた喫茶店「星やどり」を守りながら暮らす、母と6人の兄妹。
少ない常連の一人であるおじいちゃんの姿が見えなくなったころから、家族の形が変わっていく。
ほのぼの。
仲は良いけどそれぞれが小さな葛藤を持ち、家を出る者や店を手伝う者、様々な未来を見据える。
そして、これまでから卒業する。
苦しいところも引っかかるところもなくサクサク読める。でもあんまり残らない。
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2016年11月23日 読了
有能な東京地検のベテラン検事・最上のところに、教官時代の教え子である沖野が配属されてきた。ある日、大田区で老夫婦刺殺事件が起き、その関係者の中に知った名を見つけてしまう。
すでに時効となった事件の犯人らしき人物が、また殺人犯として現れた。
法では裁けない口惜しさが、最上を追い詰める。
法の専門家でありながら、今までの正義をあっさりなげうつ上、素人のような隠ぺい工作をする。
ばれても構わないと思っていたのならもっと雑だったろうし、見つからければラッキーというならもう少し考えて行動するはずで。
最初からどうも入り込めないところがあった。
動機となった、時効を迎えた事件への思い入れもいまいち薄い印象で、全体的に上滑りしていた感じ。
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2016年11月20日 読了
派遣社員の三智子は、彼氏にフラれてから元気がなかった。
そんな三智子に有能な女性部長・黒川が声をかけてくる。
「これから1週間、ランチを交換しよう」
仕事はできるがちょっと近寄りがたい部長の指示で、その日行く場所へランチへ出かける三智子。仕事場での部長の顔しか知らなかったけど、ランチで出会う人や場所によってどんどん視界が開けてくる。
元気が出てくるランチ。美味しいと思えることが楽しいということが、力になる。
でも後の短編はそのパワーに欠けていた。アッコちゃんの話がもっと読みたくなる。
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2016年11月18日 読了
たくさんの人から慕われた神様のような坪井誠造が死んだ。
教師であり、定年してからは裏の敷地にアパートを建て、畑も作り、近所の人々に愛された坪井誠造の通夜に集まった人々。その中に、ちょっとした疑惑を持つ者が数人いた。
清廉潔白な、神の様な人物だったはずなのに、一つ怪しいと思ってしまうとたちまちすべてが怪しくなり、あっという間に悪魔の様な人物になってしまう。
通夜の席の数人の話だけで、一人の老人の人物像がここまでくるりと入れ替わるのは面白い。
最後まで違和感を持たせずに上手く一人を消し去る結末には驚いたが、あのオチはあんまり好きじゃない。
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2016年11月17日 読了
夜でも明るい両国の見世物小屋。
その中に、珍しい技を見せる芸人がいた。
最近人気のその人形遣いは、月草という。
まことを話す井戸から生まれた玉を目にもつ姫人形・お華を操る月草の下へやって来るお客は、お華のファンだけではない。
知りたい事を抱えて思いつめた人は、見世物の途中でも構わず月草に詰め寄ってくる。
そのあたりを束ねる親分の頼もしさと、月草の優しさがわかりやすく引き立っている。
謎というより人のしがらみが大きく、それがほどけた瞬間はすっきりする。
ただ、表紙のお華の表情がなんだかしっくりこなくて、物語の印象が薄くなってしまっている。
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2016年11月14日 読了
芥川賞受賞作品。
人間じゃないものと結婚したという女性たちの話。
奇妙で、でもそれほど悲嘆してはいない彼女たちが、どんな日常を送っているのかを淡々と描く。
奇妙さではかなり面白い発想だけど、設定だけがあれば伏線も意味もこじつけも解決も謎も盛り上がりも何もない。
どこでも適当なところで終われるような話。
自分自身や、結婚ということを考えるために当てはめることはできるけど、物語としては評価できない。
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2016年11月06日 読了
家族がバラバラになり、自分だけは違うとそれから逃げ続けていた歩だが、ある日頭髪が薄くなっていることに気付いてからは、卑屈で人を避け、猫背で引き篭もる日々をすごしていた。
上巻はただ淡々と出来事を綴っていたからさほど興味もわかず、いつ読むのをやめても気にしないくらいだったが、下巻になって少し周りが見えてきた歩の物の見方に興味がわいてきた。
どこにも引っかからずするすると読めるため、あっという間に終わりそうだったが、最後で「夢オチ」的な気配が出てきたところで突然白けた。
ヤコブとの邂逅で終わっていればまだタイトルともつながったのに、残念な気分しか残らなかった。
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