道化師の退場


 永山櫻登は、俳優だが名探偵として名を馳せた桜崎真吾と面会する。
彼は、余命宣告を受けた病人だった。
前年の夏、小説家来宮萠子が自宅で殺害され、容疑者として櫻登の母春佳が逮捕されたが、「彼女の死に対して、わたしに責任がある」の言葉を遺し謎の自殺。
櫻登は、母の無実を信じてその真相を究明しようと桜崎を頼ってきたのだった。
桜崎の指示で、櫻登は母とその交友関係、さらに祖母やその親友にまで調査を広げ、母の残した言葉の意味を探っていく。

 誰からも変わっていると言われてきた櫻登は、会話のつなげ方が独特。
そんな彼に助言をする桜崎も風変りで、個性的な人物が多い。
だんだん広がる調査対象と人間模様に、より深くなってくるのは櫻登への興味。
イヤミスにはならない程度の、ホラーともいえるような最後は思わず読み返した。