ばけもの好む中将 十一 秋草尽くし


 いつものように怪異を求めて夜歩きする宣能と宗孝。
しかし宗孝は、宣能が秘めている荒事のことで頭がいっぱい。その時、二人の面前にひらりと漂う白いものが現れる。
驚き慄く宗孝。
 一方、自身が企んでいたことが失敗し、夜な夜な悪霊に悩まされている弘徽殿の女御は、悪霊が実は巫女たちの仕掛けだったことを知り、復讐を誓っていた。

 宗孝の周りが一気に慌ただしくなる。
どんなことも権力に任せてやってしまう弘徽殿の女御、都の裏の仕事をしている多情丸、そしてそんな物騒なことは何も知らずに純情な恋心を育んでいる東宮と初草。
物騒なことが多く起こる今回だが、東宮と初草の微笑ましいやり取りが和ませる。
今回は周りの者たちのエネルギーに押されて、宣能と宗孝の印象が薄かった。
これからの二人が心配になる。