姫の竹、月の草―吉井堂謎解き暦


2014年04月17日 読了
学問、特に天文が好きな兄・吉井数馬は、妹の奈緒と江戸の神田で手習い所「吉井堂」を開いている。
 「神田川端の武家屋敷に幽霊が出る」
そんな噂が出始めた。奇妙なことが大好きな数馬は、いつもなら走って見に行くくらいなのに、なぜか今度はさっぱり興味を持たない。

 客に見せたからくり人形や、奉公先の御殿から消えた娘、あぶり出しの和歌。
不思議なことから膨らむ日常と、仲の良い兄妹の微笑ましい言い争いや暮らしぶりがとても心地よい。
過去に縛られることなく生きる二人の強さが気持ちのいい読後感を残す。

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あなたの人生、片づけます


2014年04月14日 読了
 片付けられないのは、モノだけじゃない。
物があふれるのには、理由がある。社内不倫だったり、妻を亡くしたりして、心に何かを抱えている人。
その人たちに片付ける方法を示しながら、進む道も示すことを仕事とする女性が主人公。

 よくあるテーマではあるけど、何を考えているのかわからない態度から興味を持たせ、心を開かせていって考えを変えさせる。
思い悩んでいる時は周りが見えにくいもの。
もしも自分だったら、どんなふうに変えてくれるだろうと興味をそそられる。

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西の善き魔女1 セラフィールドの少女


2014年04月13日 読了
 北の高地に住むフィリエルは、女王生誕祝祭日の舞踏会に出るのを楽しみにしていた。そしてその日、変わり者の父から渡された首飾りをつけて舞踏会に参加した彼女は、そこで自分の出征の秘密を知ることになる。

 タイトルを見てずっと気になっていたのを図書館で見つけたので迷わず借りてきた。
ファンタジーだけど誰もが知る童話も登場したり、リアルな世界と少し交わるためにその一瞬だけ現実に戻されて興醒めするが、1巻では物語が動き始めるための謎がたくさん散らばり始め、続きが気になってくる。

真夜中のパン屋さん


2014年04月12日 読了
 真夜中にだけ営業するパン屋さんには、いつも飄々と笑っているオーナーの暮林と、口が悪いが腕はいいパン職人の弘基がいた。
そこへ、母親に放り出された女子高生の希実が居候することになり、夜な夜なパンの香りに引き寄せられておかしな客が集まりだす。

 ラノベにしては面白かった。
読むだけで苦しくなるようなネグレクトや家庭内暴力も、おいしいパンと共に暖かく出口が見えてくる。
希実のクラスメイトの話は中途半端で流れを止めるが、こだまの父だという男が、最低な人間としてわかりやすく登場するので、他のどうしようもない人たちが愛しく思える。

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まほろ駅前狂騒曲


2014年04月10日 読了
 夏の間、行天の子供を預かって欲しいという依頼が来た。
多田はもちろん断るが、相手に押されて結局預かる羽目に。

 そして、バスが間引き運転していると思い込んでいる年寄りや、駅裏で娼婦をしているルルとハイシー、迷惑で時々頼もしい星なんかも入り乱れ、いつもの多田便利軒の様子がたっぷり見られる。

 ページ数が多いわりにあっという間に読んでしまう。
日常にちょっと迷惑が増えた感じのいつもの多田便利軒だけど、つい夢中になるほど色んな事が起こり、ハラハラもさせられた。
またそのうち新しい多田便利軒が読めるだろう。

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金春屋ゴメス


2014年04月04日 読了
 江戸。でも江戸ではなく、近未来の江戸。
日本から独立した「江戸」では、生活や習慣も昔のままで、もちろん電気もなく現代科学や医学もない。

 そんな江戸へ激しい競争率をすり抜けて入国した辰次郎は、身請け先の長崎奉行馬込播磨守・通称ゴメスから、致死率100%の流行病の正体を突き止めることを命じられた。

 不思議な設定で惹きつけられ、惑わされた。
江戸の頃の理を忠実に守りながらも現代からは離れられない。
ゴメスのインパクトが強すぎて癖になりそう。

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探偵法間(のりま) ごますり事件簿


2014年04月03日 読了
 さっぱり仕事が入らない貧乏探偵の法間謙一。
仲間からはホウカン(幇間)と呼ばれる彼は名前の通り、太鼓持ちで渡り歩いてきた。
おべっか、お世辞を口を挟む間もないほどしゃべりつくし、その口で人をいい気分にさせ心を許させ取り入っててしまう。

 ハードボイルドとはまた違う探偵。
聞く方も言う方も疲れ切るおべっかの連続で、ふと漏らした言葉や気を許した途端にしっぽをつかむ。面白いけど、読む方も疲れた。

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探偵が腕貫を外すとき


2014年04月01日 読了
 腕貫探偵が、ちょっとした話からすべてをすっかり解き明かす。
相談ごとを持ち込む今までの話と違い、仕事以外で行きあう知り合いのおかしな話などをネタにしている。

 探偵の知人ばかりのせいか、常に平常心で淡々と語る探偵のちょっと人間らしさがみられたのは面白いが、その分その人たちの話が長くて疲れる部分もあった。

 最後は少しほっこりする。
どうやら間に何冊があったよう。見逃したか。

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探偵が腕貫を外すとき 腕貫探偵、巡回中 [ 西澤保彦 ]
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烏金


2014年03月28日 読了
 借金のかたに手に入れた一軒家に住む金貸しのお吟。
毎朝あちこちまわって借金を取り立てて廻る。
そのお吟のところへ、何やら企んでいる男・浅吉がやってきた。

 お吟の貯めこんだ金をすっかりもらおうという腹は隠し、浅吉は仕事を手伝うと言い張り居候となった。

 浅吉は、かたき討ちでも始めるような悪い奴かとおもいきや、金を借りた者たちが何とか暮らしを立てていけるよう知恵を貸し、商いをさせたり暮らし方を変えさせたりする。
お吟との関係も途中まではすっかり予想を裏切られた。
目を離せない流れとすっきり気持ちのいい結末で、とても良い気分で読み終えることができた。

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烏金(からすがね) [ 西條奈加 ]
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ガンコロリン


2014年03月27日 読了
 完璧な健康を手に入れるために国が権力を駆使してサポートする。
自由化された医療では病院のランクによって料金も診察内容も露骨に変わる。

 医療を極端な方へ向かわせ、コミカルに煙に巻き、最後はあっさり突き落す感じの医療業界の短編。

 笑えるけど怖い話。
タイトルの「ガンコロリン」とジェネラルの話が印象に残る。

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