バチカン奇跡調査官 アダムの誘惑


2019年08月10日 読了
 友人のFBI捜査官ビルから結婚式の司祭を頼まれた平賀とロベルトは、アメリカへと向かう。その頃、ビルと偽装婚約中の工作員エリザベートは、世界的大スター・ゾーイと出会うが、翌日、巨大水槽の中で揺蕩うゾーイの遺体を発見してしまう。

 今回は奇跡調査ではなく、二人のプライベートな旅行のはずだった。しかしそこで出会った不可解な死が、二人を巻き込んで大がかりな事件へと繋がっていく。奇跡ではないけど不思議なことが次々と起こり、まるで他の惑星での出来事のよう。ジュリアも久しぶりに登場する。蘊蓄もたっぷり。ちょっと飽きてきた奇跡調査だったけど、今回は新鮮な驚きがあった。長編で刺激も危機もたくさんで、映画を見たよう。

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機長、事件です! 空飛ぶ探偵の謎解きフライト


2019年07月18日 読了
 ニッポン・エアラインのパイロット間宮治郎は、副操縦士となって初めてのフライトに緊張していた。
女性パイロットの中でも“切れ者”として知られる氷室と、有能だけど軽い幸村と共にシャルルドゴール空港までのフライト中、婚約指輪盗難事件が起きる。

 キャラクターが解り易く、読みやすい文体。
氷室は推理というほどでもない活躍だけど、観察眼が優れているという感じ。
ラブコメとしては十分楽しめた。

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炎天夢 東京湾臨海署安積班


2019年07月09日 読了
 グラビアアイドル・立原彩花の死体が、芸能界の実力者であるプロダクションサミットの柳井が持っているプレジャーボートの近くで見つかった。ボートには被害者のサンダル。当然柳井が疑われる中、捜査本部が立ち上がる。

 安心の安積班。いくつもある刑事ものシリーズの中で、このメンバーだけは名前が憶えられている。
一つの事件の割にページ数が多いが、会話中心なのでさらりと読める。

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道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳


2019年07月05日 読了
 これまで落語に縁がなかった亮子が落語家に嫁いできて4年。
夫の師匠が脳血栓の発作で倒れ、半身がマヒしていても頭は健在で、亮子の周りで起こった殺人事件や詐欺事件を介護用文字盤を使ってさらりと解く。

 素人から落語界へ入った亮子の目線で語られるため、落語を知らなくてもちゃんと解説してくれていて解り易い。
昔からある話で現代の謎までも解けてしまうのが面白い。

女王さまの夜食カフェ – マカン・マラン ふたたび


2019年06月18日 読了
 手術を終えて戻ってきた「「マカン・マラン」の主。
そこへはまた、夜な夜な人生に迷った人が訪れる。
 ボスの派遣社員に取り込まれ、同意の相槌だけが上手くなった派遣OL。夢を追いながらも負い目を感じていた青年。そして今回はシャールの同級生の柳田の悩みも。

 かかわった人たちはやっぱり常連となる。
「マカン・マラン」は知ってしまったら通ってしまいそうだ。
どうなっても否定されないけど自分の決断、ができる覚悟も出そう。
どの話も、流れは解ってしまっているのに見逃せない。

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アシモフのミステリ世界


2019年06月09日 読了
 短編集。主にアース博士シリーズ。
いくつもの機会にバラバラに書かれたものを改めて集めてきたもので、それぞれにアシモフ自身の解説がついている。

 アース博士のものは面白く読んだ。
それ以外は専門的な蘊蓄が多すぎて飽きるものもあったが、解決へはスッキリと向かい、その光景を想像するのが楽しかった。

マカン・マラン – 二十三時の夜食カフェ


2019年05月31日 読了
 路地裏にひっそり夜だけ現れる夜食カフェ。
そこは、悩みを持っていたり疲れ切った人にだけ縁をつなぐ。
そして出されるメニューは、心を温かくするものばかり。

 早期退職の対象となった女性の、人生を変える選択をする助けになり、手料理を食べなくなった中学生男子、仕事に未来が見えなくなったライターに、店の土地を売れとやって来る地上げ屋にまで。
 店主の料理に癒されていく様子が、押しつけがましくなくゆったりと流れてくる。料理に興味がなくても、おいしそうなイメージは充分つくれた。

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かわたれどき


2019年05月28日 読了
 町名主のお気楽跡取り息子である麻之助は、妻のお寿ずを亡くしてからは独り身のまま、跡継ぎとして町内の揉め事静めに忙しくしていた。
そんな時、屋敷の玄関に現れた娘が「縁談相手」と名乗った。

 幼馴染3人組で相変わらずの麻之助だったが、今回は自分の縁談に振り回される羽目になる。
さらに揉め事もそれに絡めて起こるため、麻之介はそろそろ逃げられなくなってきた。
揉め事のそれぞれの種明かしは、わずかなヒントしか出てこないため、いつも判決の場まで推察できない。
そのため推理は難しいが、もめ事の関係者という立場で聞いているような感じで気楽に参加できる。麻之助の相手も決まり、先行きが気になってきた。

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宇宙気流


2019年05月25日 読了
 昭和41年発売のハヤカワ・SF・シリーズ。
惑星フロリナ原産の繊維「カート」は、高級品として高値で取り引きされ、原住民であるフロリナ人は、農奴として酷使されていた。
その工場で、最下層カーストの女性ヴァローナは、白痴の男性リックを拾う。
 ところがリックは、神経衝撃針を打たれ、記憶を失っていたのだった。

 今でもSFとして充分新しい印象を受ける。1952年に書かれたものだそうだ。
それぞれが自分の利益のために動き、権利を失うのを恐れ、様々な思惑で行動する。心情も細かく描写され、それぞれの決断も納得がいくものだった。

 古いものだからか、「場合によつて」「いなくなつた」など、小さい”つ”が使われてない。

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永遠の終り


2019年05月18日 読了
 ハーランは厳しい訓練の末、時間管理機関「永遠」の研修生ととなった。
未来の安寧と平和のため過去を矯正する資格をもつ「永遠人」として、ハーランは過去へ飛び、小さな「矯正」を行う。その任務の中で、ハーランは美しい女性、ノイエスと出会う。

 ノイエスを愛したことで、ハーランは冷静な永遠人としての任務を超える行いをする。しかし、ハーランだけが罪を犯すわけではない。永遠人だと言っても人間であり、過去もあるということが、後半に入って物語が加速させる。
長いので細部を覚えてなくて何度も振り返ったが、疑問はちゃんと伏線として入っていて、振り返るのが楽しかった。

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