2015年09月21日 読了
鍛冶の里で育ったキリヒトは、その訓練を終えて最古の図書館の主へ仕えるため里を下りた。
「高い塔の魔女」と呼ばれるその主・マツリカは、古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせる。
政治の謀などに話が及ぶととたんに難解に感じたが、マツリカ達との関係が深まるにつれ、どんどん興味がわいてくる。
650ページもある分厚い本が、頼もしく見えるほど。
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読書と手芸の記録
2015年09月21日 読了
鍛冶の里で育ったキリヒトは、その訓練を終えて最古の図書館の主へ仕えるため里を下りた。
「高い塔の魔女」と呼ばれるその主・マツリカは、古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせる。
政治の謀などに話が及ぶととたんに難解に感じたが、マツリカ達との関係が深まるにつれ、どんどん興味がわいてくる。
650ページもある分厚い本が、頼もしく見えるほど。
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2015年09月12日 読了
都内の中学校で、少年が同級生を刺す事件が起こる。刺した少年は、取り調べで老人の様な声でおかしな話しをしたうえ逃げ出した。
そこに現れる祓い師・鬼龍光一。
さらに第二、第三の事件が起こり、みな14歳で老人の声と口調が共通点だった。
現実主義のはずの刑事・富野が、祓い師というオカルトなことを生業としている鬼龍と協力して事件をさぐる。
信じてないけどああるのかもしれない現象が、どこまで受け入れられるか。
楽しめた。
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2015年09月07日 読了
なぜか人に話しかけられやすく、またどんな人の話を聞くのも苦ではないという主人公の柏木君には、聴き屋という二つ名がある。
そのせいでいろんな話が集まり、謎解きに使われていた。
今回は罰ゲームで告白したらOKをもらってしまった男子学生の話や、桜の下で行われたフリマの会場でサークルメンバーと本気のかくれんぼをしたり、音楽学科の定期演奏会で舞台を泡だらけにした犯人とそのワケについてなど、誰も嫌な気分にならない事ばかりで安心して読める。
日常の謎をやたら大げさに事件にするようなものとは違い、やんわりと謎が出て、なんだそれはこうゆうことだよと解説するような穏やかさで納得させてくれる。
人や謎が彼に集まる理由がわかる。
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2015年08月26日 読了
〈仙人蓋〉と言われる危険な薬が出回っていると聞き、調査を始める若宮。
その手伝いに駆り出された北家郷長のぼんくら次男坊・雪哉は、最果ての地で恐ろしいものを見る。
妻を決めてその地位も確かなものになった若宮だが、その身は相変わらず危険に近く、また自ら危険に向かって行く若宮にはらはらする周囲。
今回は山内の存続の危機に、立場の違う者たちが協力する話だが、ここで八咫烏ではない本物の『人間』の存在が見えてきてしまった。
人ではない者たちの話が急に現実と接してきたために、そこでこの世界観に浸れずに覚めてしまう。
雪哉の行く末と断ち切れない若宮との縁は気になるが、くっきりと区別してきた世界との関わりはない方が良いと思う。
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2015年08月16日 読了
「来世で何になりたいか。宴が終わるまでに決めよ」
若だんなが長く寝付くので、あちこちの神様にお供えしてきっちりお願いをしようとして、離れの者たちは神を呼び出すことにした。
罰当たりなことすら平気でする人ではない者たちに振り回され、若だんなはまた困る事になる。
妖になりたい人、人になりたい付喪神、親になりたいと願う石女。
ないものねだりの者たちを前に若だんなは、許嫁も決まって人並みに働きたいのに体が動かないもどかしさを知恵で補う。
安定のシリーズ。
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2015年08月04日 読了
第3回アガサ・クリスティー賞受賞作。
時効まであと2時間となったこの日、15年前の事件の告白をしたいと、同じ大学のゼミ仲間の龍太がやってきた。
雪で閉ざされた山荘で、弥生を毒殺したのは誰か。。。
スタンダードなミステリー。
とても解り易く、流れも手順通り。殺人とトリックの魅せ方、謎解きの流れなど、馴染みのある作りで安心できる。
山荘の管理人が毒物を特定した証拠や根拠に、説得力がまるでなかったのが残念だけど、最後まで細工がされていたり、偶然を当てにしない計画的な殺人のはずだったのに、実際は偶然が重なったおかげでできたことだったといった、きわどい奇跡のような部分は面白かった。
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2015年07月31日 読了
一度は聞いたことがある古典落語の有名な話を、面白おかしくちょっと今風に変えて語る。
どこかかみ合わない会話やケンカ腰のふざけ合いが、ユーモアたっぷりで嫌味じゃない。しかも少しづつ起こる誤解とすれ違いから、政まで変えてしまったのに本人たちは気づかない。
冒頭で若殿と入れ違った放蕩者があっさり殺されたので怖い話かと思ったが、どんな重要なことでもさらりとやり過ごし、しれっと「松井棒」が出てきた時は二度見した。
他の落語も知りたくなった。
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2015年07月29日 読了
浅草聖天町の願人坊主、法界坊。
人のちょっとした悩みを聞いてあちこちに手回しし、関わる全てを丸く収める知恵者。
子分の“すっとこの徳”を引き連れて楽して銭を稼ぐ方法を考える、本当はちゃんと地位も学もある荒っぽい坊主である。
読みにくい言葉遣いに馴染むまではなかなか進まないが、すぐに法界が何を考えているのか推理していくのが楽しくなる。
法界は歌舞伎でお馴染みらしいが、知らなくても十分面白い。
ただ、最後はあっさり江戸を捨てるあたり、法界の過去の因縁が重く辛そうで苦しくなる。
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2015年07月23日 読了
父と伯父が二人でやっている口入れ屋「きまり屋」で、急ぎや短期の依頼に助っ人として駆り出されるおふく。
女中として赴く家々では、わがままなお嬢様やケチな主など、外から見ては解らないけど毎日では辛い事情があり、おふくは腹を立てたり同情したりと忙しい。
そんなおふくには、離縁した夫がいた。未練を断ち切れずにいるおふくが奉公先で色んな人に会い、5年も経った頃にやっと心が決まる。
短編集なので読みやすいが、おふくだけではなく、個性的な「きまり屋」の人たちがもっと活躍してほしい。
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2015年07月20日 読了
山に登る理由は人それぞれ。
結婚を迷う者、仲間との違和感、仲がいいとは言えない姉妹など、同じ山に居合わせた者の、なかなか言葉にできない思いが、少しづつ時間をずらし、主人公をずらして語られる。
また同じテイストのイヤミス系かと思って嫌厭していたが、これはむしろ人の内面を見直す話。
ここまでいろんな立場の、いろんな考えの人たちを書き分け、悩みや嫉妬などの暗い部分も多いのに、読後感はすっきりしている。
山へと誘う話ではないため、山を知らなくても楽しめた。
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