致死量未満の殺人


2015年08月04日 読了
 第3回アガサ・クリスティー賞受賞作。
時効まであと2時間となったこの日、15年前の事件の告白をしたいと、同じ大学のゼミ仲間の龍太がやってきた。
 雪で閉ざされた山荘で、弥生を毒殺したのは誰か。。。

 スタンダードなミステリー。
とても解り易く、流れも手順通り。殺人とトリックの魅せ方、謎解きの流れなど、馴染みのある作りで安心できる。
山荘の管理人が毒物を特定した証拠や根拠に、説得力がまるでなかったのが残念だけど、最後まで細工がされていたり、偶然を当てにしない計画的な殺人のはずだったのに、実際は偶然が重なったおかげでできたことだったといった、きわどい奇跡のような部分は面白かった。

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異譚・千早振る


2015年07月31日 読了
 一度は聞いたことがある古典落語の有名な話を、面白おかしくちょっと今風に変えて語る。

 どこかかみ合わない会話やケンカ腰のふざけ合いが、ユーモアたっぷりで嫌味じゃない。しかも少しづつ起こる誤解とすれ違いから、政まで変えてしまったのに本人たちは気づかない。
冒頭で若殿と入れ違った放蕩者があっさり殺されたので怖い話かと思ったが、どんな重要なことでもさらりとやり過ごし、しれっと「松井棒」が出てきた時は二度見した。
 他の落語も知りたくなった。

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浮かれ坊主法界


2015年07月29日 読了
 浅草聖天町の願人坊主、法界坊。
人のちょっとした悩みを聞いてあちこちに手回しし、関わる全てを丸く収める知恵者。
子分の“すっとこの徳”を引き連れて楽して銭を稼ぐ方法を考える、本当はちゃんと地位も学もある荒っぽい坊主である。

 読みにくい言葉遣いに馴染むまではなかなか進まないが、すぐに法界が何を考えているのか推理していくのが楽しくなる。
法界は歌舞伎でお馴染みらしいが、知らなくても十分面白い。
ただ、最後はあっさり江戸を捨てるあたり、法界の過去の因縁が重く辛そうで苦しくなる。

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口入れ屋おふく昨日みた夢


2015年07月23日 読了
 父と伯父が二人でやっている口入れ屋「きまり屋」で、急ぎや短期の依頼に助っ人として駆り出されるおふく。
女中として赴く家々では、わがままなお嬢様やケチな主など、外から見ては解らないけど毎日では辛い事情があり、おふくは腹を立てたり同情したりと忙しい。
そんなおふくには、離縁した夫がいた。未練を断ち切れずにいるおふくが奉公先で色んな人に会い、5年も経った頃にやっと心が決まる。

 短編集なので読みやすいが、おふくだけではなく、個性的な「きまり屋」の人たちがもっと活躍してほしい。

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山女日記


2015年07月20日 読了
 山に登る理由は人それぞれ。
結婚を迷う者、仲間との違和感、仲がいいとは言えない姉妹など、同じ山に居合わせた者の、なかなか言葉にできない思いが、少しづつ時間をずらし、主人公をずらして語られる。

 また同じテイストのイヤミス系かと思って嫌厭していたが、これはむしろ人の内面を見直す話。
ここまでいろんな立場の、いろんな考えの人たちを書き分け、悩みや嫉妬などの暗い部分も多いのに、読後感はすっきりしている。
山へと誘う話ではないため、山を知らなくても楽しめた。

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火花


2015年07月18日 読了
 お笑いを目指す若者・徳永が、ある時出会った先輩・神谷の弟子にしてもらう。
神谷は奇天烈な思い付きで天才的な笑いを生み、その哲学にも信念がある。そして神谷は弟子になった徳永に「俺の伝記を書け」と命じる。

 神谷の人柄に嫌悪感がぬぐえず、前半はさして面白くもないまま進む。
しかしそのうち、神谷という、お笑いには天才だけどそれ以外はクズな人の頭の中を表現する面白さが出てくる。
そして自分の意志で言いなりになる主人公が、自ら奈落へはまり込む神谷をそのまま見つめる。

 古典的な表現が読みにくさを誘うかと思ったが、引っかかるところもなく集中でき、後味もさっぱりしていて短時間で読める。

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ばけたま長屋


2015年07月15日 読了
 指物師の弦次は、一人立ちするために店賃の安い長屋を見つけ、引っ越してきた。
ところがそこは、幽霊が出ると言って住人がほとんど出ていった長屋だった。

 怖い話が大嫌いな弦次だったが、同じく越してきた絵師の朔天のために幽霊を探す羽目になり、唯一の先住者である三五郎と共にあちこちの幽霊に会いに行くとこになってしまう。

 いくつかの幽霊の話が、事情が分かってくるとだんだんつながり、やがてはすべて綺麗にまとまっていく。怖い話だけどほのぼのとした雰囲気が流れていている。

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一朝の夢


2015年07月10日 読了
 体格はいいのに気の弱い同心・中根興三郎は、朝顔を育てることが生きがいだった。
夢は、黄色い朝顔を咲かせること。

 興三郎の朝顔好きから巡り合う人たちは皆、信頼できるいい人ばかりなのに、それぞれが信じる正義の前で起こる悲劇に、何もできない興三郎は苦しむ。

 やがて起こる桜田門外の変。興味深い登場人物ばかりだが、史実が描かれ始めると急に失速したように個性が消えた。興三郎の人生を中心に描いてほしかった。

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踊り子と探偵とパリを


2015年07月07日 読了
 作家志望の英国青年ユージンは、経済界では大物の父を持ち、その跡継ぎとしての修行を嫌がってパリにやってきていた。
そこで出会った黒い服ばかり着ている探偵や、一目ぼれした踊り子と共に、呪われた宝石“ディープ・レッド・ハート”を探し出す。

 夢のような物語が『小説』という設定で描かれている。いつものひたすらやさしい語り口とは違ってさっぱりしているので読みやすい。
どこまでが思い出話かを想像するのも楽しいかもしれない。
個性的で解り易いキャラクターばかりなので割と小さい子でも楽しめそう。

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月の見える窓


2015年07月05日 読了
 キャバクラのスカウトマンをしている晶彦。ある日、スカウトした女の子の一人、麻衣が子供を残して姿を消した。
麻衣を探し始めた晶彦は、麻衣の元夫や関係者を探るうち、もう一つの誘拐事件にいきつく。
それを解決しなければ、麻衣は見つからない。晶彦は誘拐された子供のために走り回ることになる。

 『オリンピックの身代金』と似た読み応え。
最後に残る犯人に、こんなゲーム感覚の脅しが考えられるのかと疑問に思うこともあったが、後半で増すスピード感が違和感を薄れさせる。

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