偽恋愛小説家


2014年07月13日 読了
 思わずうっとりと目を閉じるほどのロマンチックな文を書く恋愛小説家・夢宮宇多。
その夢宮先生の担当になった編集者の井上月子は、整った外見とは裏腹な毒を吐く夢宮先生に振り回されていた。

 一つ一つの章が、誰もが知る王子と姫の物語をなぞり、物語に隠されたその時代の風習や常識をもとに本当の意味を探る。
ただ美しい恋愛物語だと思っていたものが、実は残酷な時代の風刺だったりすることはよくあることで、小さい頃はただ憧れていた話にそんな考え方もあるのかと考えさせられる。
文学は時代と共に解釈が変わる。
 そして夢宮先生のトリックで、恋愛小説がミステリに変身する。

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ええもんひとつ―とびきり屋見立て帖


2014年07月10日 読了
 道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆずは、二人で目利きを競いながら成長している。

 二人の目利きは物だけじゃなく、人も見る。
時に目利き勝負をしながら、二人は世の中の妙を知る。

 目利きによって助かる物や人。それらを柔らかく優しく描いているのでこちらもあたたかい気持ちになるが、時に無茶な賭けを吹っ掛け、小さな知恵と細工によって勝ったりもする。
そんな賭けは人生の大勝負ですればいいのに、この二人は割と簡単に始めてしまう。
自信を付けるというよりただの博打のような感じで、手堅い商いとはいいがたい。

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村上海賊の娘 下巻


2014年07月08日 読了
 いよいよ戦へ。
海上での、船での戦いは陸とは違う技が必要になる。
それぞれの秘技を駆使し、一度は共に酒を飲んだ相手との戦いは壮絶。

 戦の場を恐ろしいと思っていた景もやがては自らその中に飛び込んでいき、敵の大将と長い一騎打ちに臨む。
 戦いの様子が細かく書かれているのでリアルに思い描くことができた。
でもこれは映像で見た方が楽しそう。

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ないたカラス


2014年06月25日 読了
 江戸で再会し、荒れ寺に住み着いて偽の和尚と寺男になりすました幼馴染の二人。
老け顔でお人好し、ちょっと頭の足りない三太と、ちゃっかり者で皮肉屋の弥吉が千里眼をうそぶき、うまく立ち回ってやってくる相談者から金をせしめる。

 おおっぴらには言えないことをしている二人なのに、なぜか周りからは信頼され感謝される。嘘はついているけど人を殺さないし悪事も働かない二人はなぜか憎めない。

 相談にやってくる夫婦も問題も多いけどそれなりにお似合いで、うらやましかったり悔しかったり。
右往左往する人間を上からからかうカラスがちょうどよく客観視してくれている。

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GOSICKs II ──ゴシックエス・夏から遠ざかる列車─


2014年06月18日 読了
 バカンスのためにほとんどの学生が学園からいなくなり、人気のない芝生の上で、ヴィクトリカは人目を気にせずゴロゴロする。

 普段は入れない一弥の男子寮の廊下や、学生と出くわす恐れのある食堂や庭などで、ヴィクトリカは今日も謎を欲しがる。

 コロッと転がっていきそうなヴィクトリカと、和服姿でレースの日傘を掲げる一弥の様子が目に浮かぶ。
誰にも邪魔されない、夏休みだけの自由。

GOSICKs-ゴシックエス・春来たる死神ー


2014年06月18 読了
東の島国から、ヨーロッパの小国ソヴュールに留学してきた一弥。
異国の地で彼は、まだ馴染めずにいた。
そんな時、寮母さんから急に買い物を頼まれて村に向かっていた一弥は、思わぬ事故に出くわす。

 一弥がヴィクトリカと出会うきっかけとなった事件。
今まで語られていなかったのかと不思議に思うほどの出来事だが、セシル先生のとっさの行動が二人の人生を変えることになる。
春の日差しの柔らかさがピッタリなあたたかい思い出たち。

朱龍哭く 弁天観音よろず始末記


2014年06月06日 読了
 辰巳芸者の娘で長唄師匠のお蝶。
母が妾であったため父とは一緒に住むことはなかったが、町方与力の父が死に、その後からなぜか野党に襲われるようになった。

 与力を継いでいる兄と、薙刀の使い手の兄嫁。
二人は持ち込まれる町の揉め事始末にお蝶を巻き込む。
そのうちに父の死と関係がありそうな出来事とぶつかり、お蝶は隠されたそのわけを知ろうと奔走する。

 痛快というほどでもないが、じっとしていることが苦手なお蝶が動くと陰謀も動く。
お蝶を見守り、助けたいと動く者たちも加わって大捕り物となる。

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体育館の殺人


2014年05月31日 読了
 第22回鮎川哲也賞受賞作。
 放送部部長が何者かに殺害された。そこは旧体育館の壇上で、周りの目や鍵など、いわゆる密室だった。
 憧れの先輩が犯人にされそうだと知り、柚乃は学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼む。

 頭脳以外はダメ人間の伝馬とのやりとりが面白い。
推理は可能性を全部取り出してからひとつづつ潰していくという方法でミステリとして王道の方法だけど、可能性はもっとあると思わせてしまうところが少し甘い。

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糸車


2014年05月26日 読了
 蝦夷松前藩の家老の妻だった絹。
夫が藩内のいざこざで死に、息子は行方知れずになったと聞き、単身深川へやってきた。
行商をしながら息子を探す絹。

 生活のためにあちこちに出入りし、顔見知りも友もできて3年も経った頃、やっと息子の手がかりをつかむ。

 女の生き様。
心を許せる友との語らいや、静かに育ってきた愛情。
それらが息子と出会えた後どうなるのか。不思議な縁が絹を動かす。

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深紅の碑文 (上)


2014年05月14日 読了
 25世紀、陸地の大部分が水没した世界。
少ない物資を奪い合う人間は、陸地に生きる民と、生物船<魚舟>と共に海で暮らす民とに分かれた。
そしてさらに地球すら危機にあるという発表がなされ、人々は【その日】に恐怖し、さらに物資を蓄え始める。

 明らかに枝分かれして進化した2種の人間が、言葉は通じるが故に衝突する。
物語の世界に入り込めるまでは理解できない言葉も多く戸惑うが、その後は夢中であっという間に読んでしまった。
ただ、ザフィールの人格の変化は不自然。環境のせいというには違和感がありすぎた。
これには前作があるらしいのでそちらも気になる。