旅屋おかえり


2015年04月28日 読了
 元アイドルの丘えりか・通称『おかえり』は、今は旅番組を1本持っているだけの売れないタレント。
しかしその番組が、ちょっとした滑舌の悪さによる誤解で打ち切りに!
 
 起死回生に向けて走り回る社長とおかえり。
そこへ、娘からの切実な願いを受けた母がやってきたことをきっかけに、おかえりは旅代行屋を始めることに。

 タイトルも表紙も地味で、内容も想像できず、全く期待せずに手に取った本。
でもするすると読めて泣かされてしまった。
旅に出たことがある人なら、きっとどこかを思い浮かべるだろう。

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無花果の実のなるころに


2015年04月26日 読了
 父の転勤についていかずに神楽坂の祖母と暮らすことを決めた中学二年生の望。
芸者をしていた祖母のお蔦さんは、面倒くさがりで気が強いのに人望がある。
そんなお蔦さんと、神楽坂に暮らす人たちと一緒に、町で起こる出来事を綴った短編集。

 お蔦さんの人柄が良く、すごく頼りになる。
町の困った出来事や、若者の行き過ぎた悪戯などを見守り、叱る。
吉永 南央の『紅雲町』シリーズと似た雰囲気。
2作目を先に読んでしまったが、そちらよりもスカッとする読み応え。

金魚鉢の夏


2015年04月22日 読了
 戦後、今とは違う発展をした日本といった設定の、とある田舎の福祉施設で、老婆が転落して死んだ。
元刑事の幸祐が捜査を委託され、ちょうど夏休みで帰省している孫娘と共に施設へ向かう。
 ただの老人の転落死と思っていたことが、なんとなく長居しているうちに色んなことがわかってくる。

 大胆な政策で不思議な発展をした日本というのがとても面白く、生きる人々は変わらないのにここまで異世界になるのかと驚かされた。税金を上げるだけではなく、こんな思い切ったことをやってみれば、今の日本はどうなるだろうと考えながら読んでいた。

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甘いもんでもおひとつ


2015年04月07日 読了
 天才肌の父が作った菓子屋を伯父に取られ、身一つで追い出された兄妹で営む菓子屋『藍千堂』。
小さい店ながらも繁盛し、事あるごとに言いがかりをつけてくる伯父と対峙しつつ、とびきりのお菓子を作る。

 身内の人間関係に困らされながらも、人々に喜んでもらえる菓子を作り続ける兄弟。
最後には伯父との確執が語られ、どちらも意地を張りつつそこは身内で、なんとなく好敵手になる。
色とりどりの菓子さながら、いろんな感情が湧き出てきて、さらに美しい菓子も食べたくなり、そして和菓子のほっこりとした後味が残るような読後感。
表紙は地味だがサブタイトルは美しいのも仕掛けか。

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悪足掻きの跡始末 厄介弥三郎


2015年03月26日 読了
 旗本都築孝蔵厄介・弥三郎。
兄の家族に一生厄介になって生きるか、立身して己の力で生きるか。

 自由を求めた弥三郎は、運がなく、仕事を見つけてどうにか嫁取りができたというのに、すぐにすべてを失ってしまう。
報われない結末だが悲壮感はなく、自分を見つめ続けて生きた弥三郎は、充実した人生だったのではないかと思える。

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小旋風の夢絃


2015年03月22日 読了
 盗掘で生計を立てている男に拾われて墓荒らしをしていた十五歳の少年・小旋風(しょうせんぷう)は、ある日美しい少女の墓で一つの琴を見つける。
ところがその琴を掴んで脱出しようとしたとき、落盤事故で養父は死んでしまい、自由になった小旋風は琴を売って貧困から抜け出そうと、様々な策を練る。

 いつしか国のトップを決める争いに、その琴と共に巻き込まれる小旋風。
小柄で身軽という設定の小旋風にぴったりの軽やかな語り口で、なじみのない名前や表現などに流れを止められることなく読めた。
 最後の大勝負にはもう少し情景描写があっても良かったなと思うけど、名前の通りつむじ風のように終わる。
 ただ、結局その琴の事、生きた死体である少女の事、それにそっくりの猛縶の外見については謎のままで、読み終えた後も不思議な余韻が残る。

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田舎の刑事の好敵手


2015年03月17日 読了
 主人公である黒川鈴木巡査部長のいる警察署では、今日も間の抜けたトラブルで問題だらけ。
そんな田舎の警察署を視察しに、県警本部より首席監察官が視察に来るという知らせが入り、所内はパニックになる。
 でも実はこの首席監察官、黒川刑事の高校時代のライバルだったという人物であり。。。

 久しぶりにこのキャラクターたちに会い、とても癒された。
突如現れる独特の表現に思わず2度見し、登場人物の表情を想像して笑えたりいたたまれなくなったり、、、。
 もちろん推理もあるけど、笑いがメインの不思議なミステリ。
総じて読後感は良い。

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ラスト・ワルツ


2015年02月25日 読了
 スパイ養成組織”D機関”のモットーは、「何が何でも生きて帰れ」。
そんな彼らの活躍短編集。

 3つの話の中では、「舞踏会の夜」が一番スマートで記憶に残る。
作中一度も名前が出てこない”誰でもない”男。
それが誰なのかは明らかだが、まるで表紙のように、いつも後ろ姿しか見られないようなもどかしさが恋しさになる気持ちがよくわかる。

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サナキの森


2015年02月18日 読了
 売れない小説家だった祖父が亡くなり、遺品を整理していた27歳の紅。
その時見つけた祖父の本には、祖父の最後のお願いが薄い手紙として挟まれていた。本棚の一番上の、いちばん端にさしてあった一冊の本。

『冥婚』を題材にして祖父が描いた小説が、本当はかつて起こった事件を描いたものだと気づいてから、紅はその真相が気になって仕方がない。
舞台となった遠野市に行き、祖父のお願いとともに80年前の出来事を探る。

 冥婚はあちこちで行われていた儀式だが、その禍々しさゆえに色んな想像が掻き立てられる。
結末はありふれているし、物語の流れを止める途中の砕けすぎた表現には違和感もあるし、陣野せんせーと言われる人物が中途半端すぎて最後まで納得いかないけど、祖父の時代の出来事にはとても引き込まれた。

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マル合の下僕


2015年02月03日 読了
 高学歴なのに大学の非常勤講師で月給10万ちょっとのワーキングプア。
しかも育児放棄された姉の子供の面倒を見ることになってさらに貧乏な主人公・瓶子貴宣。
大学の正規社員に少しでも成り上がろうとあがいているが、なにぶんここはカネとコネが生きる世界。

 始めはタイトルの意味も分からず、さらに愚痴と悪口ばかりでうんざりしたが、しだいに貴宣の熱意が伝わり、引き込まれる。
淡々とただ流れをたどるだけの文章なのに、それがつながると不思議とスピードが上がる。
 貴宣のやる、自分を陥れた相手への仕返しさえも清々しく思える。

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