2014年09月30日 読了
瀬戸物屋の五男坊である駿平は、百五十俵の貧乏御家人「野依家」に婿養子入りした。
商人であった駿平が武士になり、まず行うのは就職活動。
刀を持つ姿も様にならない駿平が、武家のしきたりや立ち居振る舞いなどを学び、様々な苦労を重ねて身を立てる決意と術を見つけていく。
周りの者に恵まれて、なんとか頑張る駿平だが、周囲の個性が強すぎて駿平が活躍する場面はほとんどない。
でもそれが、ほのぼのとした雰囲気を生んでいた。
女の一喝や啖呵で身を引き締める男達の話。
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読書と編み物の記録
2014年09月30日 読了
瀬戸物屋の五男坊である駿平は、百五十俵の貧乏御家人「野依家」に婿養子入りした。
商人であった駿平が武士になり、まず行うのは就職活動。
刀を持つ姿も様にならない駿平が、武家のしきたりや立ち居振る舞いなどを学び、様々な苦労を重ねて身を立てる決意と術を見つけていく。
周りの者に恵まれて、なんとか頑張る駿平だが、周囲の個性が強すぎて駿平が活躍する場面はほとんどない。
でもそれが、ほのぼのとした雰囲気を生んでいた。
女の一喝や啖呵で身を引き締める男達の話。
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2014年09月10日 読了
警視庁組織犯罪対策部の沢渡と滝本組幹部の波多野は、立場は違うが同じ悔いを抱えていた。
そんな二人のところに、黒社会の大組織・天老会に追われているカンボジア人女性をかくまってほしいという依頼が入る。
警察官とヤクザ、そして黒社会の首領に不思議な仲間意識が芽生える中で、手の届かないような地位への復讐を果たすためにとった大勝負とは。
勢いがつくとあっという間に事は進み、中断できずに読み切った。
『機龍警察』のシリーズも読んでみたい。
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2014年09月08日 読了
蜂に襲われる事件が都内で相次ぐ。
それはどれも大きな被害はなかったが、電車やバスの中といった逃げ場のない場所で起こった。
一方警察では、新興宗教団体に大規模なガサ入れを行う直前で皆ピリピリしていた。
一見かかわりのなさそうな二つの出来事が、ある男によって繋がりを見せ始める。
動植物には異様に詳しいが、人間にだけはうといというおかしな女性警察官の薄圭子巡査。でも、いくらなんでも言葉や道理を知らなすぎるため、慣れるまではイライラする。
それでも、人間以外の生き物の生態をきちんと説明してくれるため、それぞれに興味が持てるようになった。
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2014年08月20日 読了
「知は金なり」というスローガンを持つエリート大学。
東京湾に浮かぶ孤島は、島全体が一つの大学だった。
独特で奇妙な決まりが多いその島では、ほぼ月に一度の割合で自殺者が出ていた。
ある学生の自殺死体が消えたという知らせを受けて島に入った二人の刑事と、大学側を代表として対応する芳村。
ありふれた事件として処理できるはずだったが。
極端な決まり事が多い大学で、その制度にどこか違和感を感じていた学生たちの考えとは。
近未来の設定だけど、実際今でも起こりそうな話ですんなりと入っていける。
『知』の戦い。
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2014年08月07日 読了
吉原は遊女だけではない。働く男女がたくさんいる。
これから客を取るという娘を一人前にしこむ上ゲ屋、年季を積んだ妓に活を入れる保チ屋など、彼女らを支える者たちに焦点を当てた作品。
始めはそんな彼らの仕事ぶりが興味を引いだが、だんだん中身がなくなり、読んだそばから忘れるほどの話になる。
吉原の人間関係がのぞけて、彼らのつながりもある短編集だが、読み進めるにつれて興味が薄れていく。
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2014年07月23日 読了
第十二回鮎川哲也賞受賞作。
旅の途中、ある画廊で巡り合った一枚の絵。そこから不思議なトリックの世界に引き込まれていく。
作中の小説で殺人事件が起こり、そのトリックは本作の謎を解く鍵。
そんな入れ子状態が重なり、いつしかどこに立って何を見ているのか混乱させられながらも目が離せない。
歴史と地理と哲学が絡み合い、難しそうな出だしからは予想もつかないくらいあっという間に引き込まれた。
トリック自体はさほど目新しいものではないので馴染みやすかったのかもしれない。
そして最後はまた謎が手渡される。
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2014年07月16日 読了
王都から離れ、ユニコーンの子供と共に異端の研究者の下で暮らしていたフィリエル。
不可能だと思っていた他国の進行が予想もしないほどの規模で迫っているのに出くわし、捕らえられてしまう。
ルーンとユーシスに助け出されたフィリエルは、女王に国の危機を知らせるために再び宮殿へと向かう。
あらゆる危機が一度に起こり、今まで敵同士だったものが団結する。
物事が動き始め、絡まっていた揉め事がするりとほどけて解決していった。
クライマックスと書かれている通りこれで完結するような雰囲気だが、続きがある模様。
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2014年07月13日 読了
思わずうっとりと目を閉じるほどのロマンチックな文を書く恋愛小説家・夢宮宇多。
その夢宮先生の担当になった編集者の井上月子は、整った外見とは裏腹な毒を吐く夢宮先生に振り回されていた。
一つ一つの章が、誰もが知る王子と姫の物語をなぞり、物語に隠されたその時代の風習や常識をもとに本当の意味を探る。
ただ美しい恋愛物語だと思っていたものが、実は残酷な時代の風刺だったりすることはよくあることで、小さい頃はただ憧れていた話にそんな考え方もあるのかと考えさせられる。
文学は時代と共に解釈が変わる。
そして夢宮先生のトリックで、恋愛小説がミステリに変身する。
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2014年07月10日 読了
道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆずは、二人で目利きを競いながら成長している。
二人の目利きは物だけじゃなく、人も見る。
時に目利き勝負をしながら、二人は世の中の妙を知る。
目利きによって助かる物や人。それらを柔らかく優しく描いているのでこちらもあたたかい気持ちになるが、時に無茶な賭けを吹っ掛け、小さな知恵と細工によって勝ったりもする。
そんな賭けは人生の大勝負ですればいいのに、この二人は割と簡単に始めてしまう。
自信を付けるというよりただの博打のような感じで、手堅い商いとはいいがたい。
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2014年07月08日 読了
いよいよ戦へ。
海上での、船での戦いは陸とは違う技が必要になる。
それぞれの秘技を駆使し、一度は共に酒を飲んだ相手との戦いは壮絶。
戦の場を恐ろしいと思っていた景もやがては自らその中に飛び込んでいき、敵の大将と長い一騎打ちに臨む。
戦いの様子が細かく書かれているのでリアルに思い描くことができた。
でもこれは映像で見た方が楽しそう。
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