起き姫 口入れ屋のおんな


2016年08月05日 読了
 浮気のあげく子まで作った夫とどうにか縁を切ったおこう。
実家に戻ると兄嫁に身代を根こそぎとられ、もめ事にうんざりしてふと思い出した乳母のところへ向かう。
口入屋をしているという乳母のおとわは病に伏していた。
おこうはその「三春屋」という口入屋に雇ってもらい、おとわの看病をしながら仕事を覚え、やがて2代目となる。

 いきなり身を切るような辛い場面から始まる。
行き場がなくたどり着いた「三春屋」だが、そこでおこうは生きる力を取り戻す。
口入屋にやってくる色んな客やご近所さんが個性豊かで、幸せな結末にほっこりする。

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図書館の殺人


2016年07月23日 読了
 期末試験中の風ヶ丘高校。試験勉強をしようと学校最寄りの風ヶ丘図書館に向かった袴田柚乃は、そこで殺人事件が起こったことを知る。
アドバイザーとして警察に協力しているヘンタイの裏染天馬と、いつものメンバー。

 頭がいいけどオタクな裏染が、今回もいい推理といい変態行為を起こしている。
試験と共に進む意味があまりなさそうだと思っていたけど、事件と関係ないところでするりと繋がっていき、意地悪な級友にさりげなく仕返しをしていたりと、細かいところも見逃せない。
他人に興味がなさそうな裏染なのに、大きなショックを受けた女の子にやさしかったり、中学で家出を決意したり、近寄りたくないけど見ていたい希少動物のような人物で面白い。
次作では家出の原因がわかるかな。

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夢の猫 古道具屋 皆塵堂


2016年07月21日 読了
 父が亡くなり、謝金を返すために家財道具を売り払ってしまうと、残すは父が集めていた根付のみ。ところが、それを売りに行く前日に必ず後ろ足の先だけ白い黒猫の夢を見るというおきみ。
その猫のせいでどこも断られ、最後は皆塵堂にやってきた。
足りない分は身を売ることになるおきみに、皆塵堂の主人・伊平次は一計を案じる。

 皆塵堂にまた新たな居候。
今までの居候もあちこちに登場し、賑やかになる。
たくさんの猫が出てきて、それだけで癒されるうえ、個性豊かな登場人物が変わってなくて安心する。

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室の梅―おろく医者覚え帖


2016年07月16日 読了
 医者の家系に生まれ、自身も医者だが死体専門の美馬正哲と、産婆をやっている妻のお杏。
おろく(死体)が見つかるたび呼ばれる正哲と、誰かが産気づくと呼ばれるお杏という、対照的な仕事の二人が生と死に向き合う。

 夫婦の形はそれぞれで、お互いと自分の仕事に向き合う二人はとても頼もしい。
淡々と進んでいくがとても暖かい気持ちになる。

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室の梅 おろく医者覚え帖 (講談社文庫) [ 宇江佐真理 ]
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女學生奇譚


2016年06月29日 読了
 フリーライターの八坂は、オカルト雑誌の編集長からおかしな取材を頼まれる。
それは、「兄が『読むと発狂する本』を残して失踪した。本の真贋と兄の行方を知りたい」という娘からの依頼であった。
そして見せられた不吉なメモ。

 読むと発狂するという本を読み始める八坂。内容を追い、真相を追ううち、これは真実の記録ではないかと思い始め。。。

 1ページ目の警告が怖い。好きな作家だから期待も大きくてすぐ読みたいのに、なぜか本を閉じたくなってしまうくらい怖い。
でも面白くて捕り込まれるように進み、うすら寒い怖さを楽しんだ。
しかし、最後は解決と気づきと奮起でなにやらするりと交わされたような気分。
解決編があるのだろうか。

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羊と鋼の森


2016年06月21日 読了
 17歳の時に出会ったピアノの調律師に魅せられ、その道を選び取った主人公の外村。
見習いとなり、色んな調律師やピアノと出会い、成長していく物語。

 人生を決めることになった板鳥との関係は、高殿 円の「上流階級」と似ている。
穏やかで的確な指示、指針となるべき言葉は確実に外村に届き、悩み迷った末に答えを見つける。
 さらりと読めて気持ち良い。でも終わり方がやっつけのよう。
そして、羊はあちこち出てきて馴染み、納得できる出来事も多いが鋼はどこに?

 『田舎の紳士服店のモデルの妻』ではとてもがっかりしたけど、こちらは比較的いい読後感。

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誰か


2016年06月08日 読了
 今多コンツェルン会長の個人運転手が、自転車に轢き殺される。
広報室の杉村三郎は、遺族の姉妹から、「亡き父の事を書いた本を作りたい。そしてそれが犯人を捕まえる助けになれば」と相談を受け、引き受けてしまう。

 調べを進めていくうちに、本を出すことに対する熱の込めようが姉妹でかなりの違いがあること、さらにそれは家族の過去につながる大きな秘密に繋がることがわかってくる。

 杉村は、何かがわかるたび、何かに気付くたび、自分が手に入れた幸せをかみしめる。
謙虚だけど、いい人すぎる。姉妹の関係性が見えてくるほどそれは引き立ち、人の暗くて黒い部分をより暗くしていた。

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誰か Somebody (文春文庫) [ 宮部 みゆき ]
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ガール


2016年05月25日 読了
 働く女性。そしてもう若くない。
そんな女たちの、日々思うこと出会うことを綴る短編集。

 時々、なんだかもやもやする気持ちになるけど、具体的に言葉にできないような事。
「あぁ、あの時こんな気持ちだったのか」と自分でも気づいていなかった違和感を見事に言語化してくれていて、その時の相手にこの本を見せてやりたい気持ちになる。

 ただ、曖昧な不機嫌や違和感だったせいか、読み終わってしまうと残らない。

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ガール [ 奥田英朗 ]
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水域


2016年05月14日 読了
 いつの頃からか水に覆われた世界。
船に乗って流れていくハル。
時折出会う魚や浮島、そして様々な人たちとの交流。

 流れていく中で、水の質が変わったり住む生物が違ったりして、それだけで冒険なのだけど、それが日常となっているハル。
出会う人たちと時には飲み明かしたり騙されたり、恋する相手と出会ったりとまるで時の流れの様な物語。

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水域 (講談社文庫) [ 椎名誠 ]
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武装島田倉庫


2016年05月02日 読了
 とある「戦後」。
破壊され、腐敗した街々と、海の水も雨の水も油を含み、奇妙で恐ろしい生物がはびこる世界。
そんなある街の倉庫で働く者たちの、生きてきた時間の一コマを短編で綴る。

 島田倉庫の面々が、どんな経緯でそこにたどり着いたのか。
一人ひとりの出来事が少しづつ。そして島田倉庫での出来事も少しづつ。
「アド・バード」と同じような世界観。
だけどこちらの方が数倍面白かった。

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