マカン・マラン – 二十三時の夜食カフェ


2019年05月31日 読了
 路地裏にひっそり夜だけ現れる夜食カフェ。
そこは、悩みを持っていたり疲れ切った人にだけ縁をつなぐ。
そして出されるメニューは、心を温かくするものばかり。

 早期退職の対象となった女性の、人生を変える選択をする助けになり、手料理を食べなくなった中学生男子、仕事に未来が見えなくなったライターに、店の土地を売れとやって来る地上げ屋にまで。
 店主の料理に癒されていく様子が、押しつけがましくなくゆったりと流れてくる。料理に興味がなくても、おいしそうなイメージは充分つくれた。

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かわたれどき


2019年05月28日 読了
 町名主のお気楽跡取り息子である麻之助は、妻のお寿ずを亡くしてからは独り身のまま、跡継ぎとして町内の揉め事静めに忙しくしていた。
そんな時、屋敷の玄関に現れた娘が「縁談相手」と名乗った。

 幼馴染3人組で相変わらずの麻之助だったが、今回は自分の縁談に振り回される羽目になる。
さらに揉め事もそれに絡めて起こるため、麻之介はそろそろ逃げられなくなってきた。
揉め事のそれぞれの種明かしは、わずかなヒントしか出てこないため、いつも判決の場まで推察できない。
そのため推理は難しいが、もめ事の関係者という立場で聞いているような感じで気楽に参加できる。麻之助の相手も決まり、先行きが気になってきた。

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宇宙気流


2019年05月25日 読了
 昭和41年発売のハヤカワ・SF・シリーズ。
惑星フロリナ原産の繊維「カート」は、高級品として高値で取り引きされ、原住民であるフロリナ人は、農奴として酷使されていた。
その工場で、最下層カーストの女性ヴァローナは、白痴の男性リックを拾う。
 ところがリックは、神経衝撃針を打たれ、記憶を失っていたのだった。

 今でもSFとして充分新しい印象を受ける。1952年に書かれたものだそうだ。
それぞれが自分の利益のために動き、権利を失うのを恐れ、様々な思惑で行動する。心情も細かく描写され、それぞれの決断も納得がいくものだった。

 古いものだからか、「場合によつて」「いなくなつた」など、小さい”つ”が使われてない。

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永遠の終り


2019年05月18日 読了
 ハーランは厳しい訓練の末、時間管理機関「永遠」の研修生ととなった。
未来の安寧と平和のため過去を矯正する資格をもつ「永遠人」として、ハーランは過去へ飛び、小さな「矯正」を行う。その任務の中で、ハーランは美しい女性、ノイエスと出会う。

 ノイエスを愛したことで、ハーランは冷静な永遠人としての任務を超える行いをする。しかし、ハーランだけが罪を犯すわけではない。永遠人だと言っても人間であり、過去もあるということが、後半に入って物語が加速させる。
長いので細部を覚えてなくて何度も振り返ったが、疑問はちゃんと伏線として入っていて、振り返るのが楽しかった。

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つくもがみ笑います


2019年04月25日 読了
 付喪神達がさらわれた。どうやら世直しをもくろむ他の付喪神のところにいるらしい。よその家の付喪神と出会ったことから、200年前の江戸へタイムスリプした彼らが見た景色とは。

 商家の付喪神達が、江戸で流行っている興行の親分と出会う。
自らを悪の親分という久徳屋の主が面白いキャラクター。
いい年のおとなで、店の主で悪人顔なのに、付喪神が大好きで、武家の天井裏に潜んだりと奇天烈。彼のおかげで楽しくなりそうだと思えるが、付喪神の登場人物が多すぎてややこしい。

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悪魔と呼ばれた男


2019年04月13日 読了
 被害者の共通点もなく、殺害方法もバラバラ。
一見関連のない殺人事件だと思われているが、ただ一つ、悪魔の象徴である逆さ五芒星が刻印されていることだけが共通点だった。
特殊犯罪捜査室と名付けられた3人だけの部署で、天海は「悪魔」と名付けられた殺人犯を追う。

 いくつもあるシリーズのように、簡単に読めてどれも印象に残らないようなラノベとは違う雰囲気。それでも登場人物の一人はやはり特殊な能力があった。ただ、他と違ってどこまでも都合の良いものとは違っていて、ジワリと追いつめられる恐怖が感じられた。

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エムエス 継続捜査ゼミ2


2019年04月09日 読了
 警察を退官し、女子大の教授となった小早川は、そこで継続操作のゼミを担当する。
文化祭が近づくころ、ミスコン反対の中心人物とされる高樹晶が何者かに襲われ怪我をする。
小早川は、犯人と決め付けられ、警察の尋問を受けることとなる。

 今までは警察側として、被疑者を追い詰めていた小早川が、逆の立場になった様子が詳しく書かれている。小早川を犯人にしようとする小滝の執拗さが不可解なほど。
それでもゼミ生たちのおかげで意外なところから犯人がわかり、ここまで引っ張ったのにあっけないと感じるほどだった。
これまでの刑事モノとは一風変わっていて面白い。

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黒猫/モルグ街の殺人


2019年04月06日 読了
 動物が好きな私。妻はそれを知って愛らしい小動物をいくつも飼うようになった。しかしいつしか私は衝動を抑えられなくなり、やがて妻にまで暴力を振るうようになった。

 言わずと知れた「黒猫」。何度か読んだはずなのにいつも最後までそれを忘れていて、結末まで読んでは、あぁそうだったと思いだす。
タイトルの2作品と、「早すぎた埋葬」しか印象に残らない。
160年も昔に罹れた物語でも、今なお新鮮に読めるのはすごい。

グラスバードは還らない


2019年03月19日 読了
 大規模な希少動植物密売ルートの捜査中、マリアと漣は不動産王ヒュー・サンドフォードが関係していることを掴む。
サンドフォート所有のタワーに乗り込んだマリアは、そこで爆発事故に巻き込まれてしまう。

 シリーズ1作目がとても印象深かったため、2作目の記憶がない。
それらに登場したジェリーフィッシュや青いバラも登場するのに、バラの印象がないのが残念だった。
今回も予想を裏切られるが、グラスバードがアルビノだったとか遺伝子操作で特殊な外見だったとかの、もうちょっと「特別」な感じがほしかった。

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爽年


2019年03月14日 読了
 シリーズ完結となる本作。
娼夫として7年が過ぎ、リョウはこれからの事を考え始めていた。
女性の複雑さにはまだ追いつかないと思いながら、これまでの印象的な客たちの話をいくつか。

 様々な趣向の客たちの心を見つけてきたリョウだが、初めて自分の家族を作る決心もする。
娼夫の話だけど、内容はとても精神的。

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爽年 [ 石田 衣良 ]
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