王国は誰のもの


2019年06月29日 読了
 家でも学校でも学校でも居場所を見つけられずにいる女子高校生の莉世は、学校帰りに奇妙に大きな黒い帽子をかぶった少年・冴島丈と出会う。
 彼の一言で莉世は助手となり、山の上の「王国」へ向かう。

 山の上には現代の技術を否定した、自称・王様が住む城があり、そこでは中世ヨーロッパを忠実になぞった生活があったという設定。
現実から異世界へは、他の小説などと違って、ただ山を登るだけというのは面白かった。しかしそのせいか、どうも徹底せず、入り込めない。現実の続きだと思うから、狼男や吸血鬼などが白々しく感じてしまった。

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スクエア: 横浜みなとみらい署暴対係


2019年06月26日 読了
 「ハマの用心棒」と渾名される神奈川県警みなとみらい署刑事組織対策課暴暴力団対策係係長・諸橋。彼の下に、県警本部長からの要請である殺人事件の捜査に加わることになった。マルBにも関係があるという。

 最初の事件から次々と他の事件まで加わって来るため、分厚い本の割に進みが早い。飽きる間もなく次への興味がわくところは、相変わらずクオリティ。
だけど登場人物が覚えられないのも相変わらず。
2時間ドラマにぴったり。

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さよならの夜食カフェ-マカン・マラン おしまい


2019年06月23日 読了
 今回シャールの夜食カフェ客は、亡き母の行きたかった学校へ通うJKの希美。
近頃仲良しグループとの付き合いがギクシャクしている。そして迷い込んだ「マカン・マラン」で、強迫観念のようになっていた母の面影から脱出する力を得る。

 回を重ねるほど客の心が疲弊していて、シャールは優しく料理を出す。
前作で料理人の省吾と共に世界一のレストランで修行した庸介もまた、「マカン・マラン」に縁を持つ。こうやって色んな繋がりが生まれている様子は、世界が広がる感じがして楽しい。どす黒い負の感情をも隠さずにいられると、浄化も早いのかもしれない。4部作のシリーズは終わったけど、いつか、シャールを見守り、忘れられない言葉や料理を出した人が出てくるといいなぁ。

きまぐれな夜食カフェ – マカン・マラン みたび


2019年06月21日 読了
 ドラァグ・クイーンのシャールが夜だけ気まぐれに開くカフェ「マカン・マラン」。
縁があれば開いている時に行ける店。
そこへ今回やって来る人は、味がわからなくなった料理人や、ネットで批判ばかりしてしまうOL、そしてシャールの後輩だったけど、不遇な結婚をしてしまった女性。

 シャールの過去が垣間見えた今回。客としてやってくる人たちも今回は今までより深刻な感じがした。じんわり温まる話ばかり。私がこんなに穏やかに人を見れるようになるには、どれだけかかるだろう。

女王さまの夜食カフェ – マカン・マラン ふたたび


2019年06月18日 読了
 手術を終えて戻ってきた「「マカン・マラン」の主。
そこへはまた、夜な夜な人生に迷った人が訪れる。
 ボスの派遣社員に取り込まれ、同意の相槌だけが上手くなった派遣OL。夢を追いながらも負い目を感じていた青年。そして今回はシャールの同級生の柳田の悩みも。

 かかわった人たちはやっぱり常連となる。
「マカン・マラン」は知ってしまったら通ってしまいそうだ。
どうなっても否定されないけど自分の決断、ができる覚悟も出そう。
どの話も、流れは解ってしまっているのに見逃せない。

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お茶壺道中


2019年06月16日 読了
 宇治から江戸へと、最高のお茶を将軍様へと運ぶ行列。
それを見るのが何よりの楽しみだった仁吉は、日本橋の葉茶屋・森山園の奉公人となる。
 大旦那の太兵衛に目をかけられていたが、そのせいで孫娘のお徳からは厳しい目を向けられていた。そんな仁吉が、旗本の阿部正外の屋敷を訪ねることになり、その出会いが彼の人生を大きく動かす。

 お茶が何よりも好きな仁吉の素直な熱意が、成長とともに視野を広げ、森山屋の危機を幾度も救う。お家騒動や逆らえない時世の動きに立ち向かう姿がたくましい。最後にはホッとできる。

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逃げ出せなかった君へ


2019年06月13日 読了
 ブラック企業に入社した三人の同期、大友、夏野、村沢は、心身ともに疲れ切り、それでも逃げる術を見つけられなかった。
そんな中、ネット中継で夏野が自殺する。

 読み進めるのが辛いくらいの内容。
夏野の自殺で一転、3人が人生で一番うまいビールを飲んだ居酒屋へ視点が移り、そこからまた次へと、夏野から広がる人間模様がつながっていく。
一つ一つが心をキュッと締め付けるような出来事。
切ない内容ばかりだけど、一番うまいビール、が心を満たすアイテムとして印象的な余韻を残していた。
 ドラマ原作大賞受賞作「被取締役新入社員」の作者。

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失楽園のイヴ KZ Upper File


2019年06月12日 読了
 数学の天才と言われていた上杉の学校にやってきたチューターの上田絵羽。
彼女はある目的のために、上杉に声をかける。
「パートナーになってほしい」

 高校生男子に、34才の絵羽は強い意志で迫る。
生徒たちは皆ひとたまりもないだろう。その理由もだんだんわかって来るが、荒唐無稽すぎて真実味がない。
さらに根拠もない推察が延々と続くため、しらけてしまう。
伏線として出た言葉や行動もよくわからないままで、納得いかない疑問だけが残った。シリーズのわりに、少しも印象に残っていないため、主人公のことさえ忘れていた。

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アシモフのミステリ世界


2019年06月09日 読了
 短編集。主にアース博士シリーズ。
いくつもの機会にバラバラに書かれたものを改めて集めてきたもので、それぞれにアシモフ自身の解説がついている。

 アース博士のものは面白く読んだ。
それ以外は専門的な蘊蓄が多すぎて飽きるものもあったが、解決へはスッキリと向かい、その光景を想像するのが楽しかった。

夏を取り戻す


2019年06月03日 読了
 夏休みだというのに、ほとんど毎日塾通いになった、小学4年生の仲良し5人組。
彼らが突然、一人ずつ行方不明になっては4日後に戻ってくるという事件が続いた。
 都内の古びたビルにある月刊ウラガワの編集者である猿渡は、その事件を調べる佐々木というフリーの記者と共に連続失踪事件を調べることになった。

 子供たちが考えた他愛のないトリックと悪戯が、大人たちに挑戦状を送ったというだけの事だったはずが、その夏の大事件にも関連する大きな謎を解く羽目になる。最後はいくつもの驚きが重なり、時間を忘れてあっという間に読めてしまった。

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夏を取り戻す (ミステリ・フロンティア) [ 岡崎琢磨 ]
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