人魚姫 探偵グリムの手稿


2015年04月01日 読了
 デンマークのとある町、11歳の少年ハンス・クリスチャン・アンデルセンは、絵描きだというおかしな恰好をした男と、人魚だという美しい女に出会う。

 童話『人魚姫』で、泡になって消えた末娘が愛した王子が殺された。
犯人は消えた末娘だという噂が広がり、ハンスは人魚の姉たちと犯人捜しをすることに。

 納得がいくようないかないような終わり方をした元の『人魚姫』から、もっと闇の部分を濃くしたような物語。思ったよりすんなりと受け入れられる。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

人魚姫 探偵グリムの手稿 (徳間文庫) [ 北山猛邦 ]
価格:748円(税込、送料無料) (2019/11/13時点)

いつもが消えた日


2015年03月25日 読了
 もと芸者で粋なお蔦さんと一緒に暮らす中学生の滝本望。
ある日、友人たちと望の家で食事をして送り出した後、友人の後輩・有斗が血相を変えて助けを求めてきた。

 人生の大先輩であり、肝の据わった思慮深い祖母との生活で満たされていた望が、突然とんでもないことに出くわす。地域みんなで心配し、力を貸し、取り戻すまでの様子は、小路幸也の小説に似ている。
お蔦さんのキャラクターが軸であるはずなのだが、ちょっと存在感が弱い。

西の善き魔女 (8) 真昼の星迷走


2015年03月04日 読了
 女王候補として認められたはずのフィリエル。その彼女と共に生きると誓ったルーン。
二人はやっとお互いの気持ちを確かめ合ったのだが、その二人の前に立ちはだかる壁はまだあった。

 この世界の理がやっと表に出てきた。
事はフィリエルが女王の血縁だからというだけの話ではない。
3人目の女王候補がグラール王国をつくるものから拒まれていると知り、フィリエルが、王女が、仲間たちが、それぞれの役目を果たす。
今まではただの乙女チックなファンタジーだったのが、だんだん複雑に広がってきた。
まだまだ続くつもりか。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

西の善き魔女(8) 真昼の星迷走 (角川文庫) [ 荻原規子 ]
価格:704円(税込、送料無料) (2019/11/13時点)

逢魔が山


2015年02月16日 読了
 決して豊かとはいえない小さな村に住む子供たちが、雑兵たちに襲われて連れ去られる。そして、もののけが多く棲むという不吉な「逢魔が山」へと入っていき、雑兵と子供たちは、闇の中で方向を見失い、飲み水もなく、恐怖に取り込まれていく。

 山の中で起こること、考え、行動したことがただ描かれているだけなのだが、まるでこちらも闇の中で迷っているような感覚になり、同じところを何度も読み直したりしてしまう。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

逢魔が山 [ 犬飼六岐 ]
価格:770円(税込、送料無料) (2019/11/12時点)

闇の虹水晶


2015年02月13日 読了
 一世代に一人だけ現れるという「創石師」のナイトゥルは、子供の頃に〈塩の魔女〉に出逢い、呪いをかけられた。

 その力、使えばおのれが滅び、使わねば国が滅びよう――。

 呪いをその身に受けたナイトゥルは、侵略者によって一族を殺されても、恨みや憎しみの気持ちさえ感じないほどに、様々なものを無くしていた。
ある日闇の水晶がその手にやってくるまでは。。。

 不思議な力を持つために、あちこちで利用されるナイトゥル。
すべてをなくしたと思っていた彼は、やがていろんなものを手に入れていくのだが、予想される結末だったので少しがっかりした。
ここまで異世界な物語でも、やっぱり人のやることはさほど変わらないのか。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

闇の虹水晶 [ 乾石智子 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2019/11/12時点)

イツロベ


2015年02月09日 読了
 アフリカの奥地にボランティアとして派遣された産婦人科医・間野祥一は、禁忌とされていた森に入り、そこに住むラウツカ族と交流を持つ。
そして見てはいけないと言われている者たちの正体に気づいてからは、日本に戻ってきてからも奇妙な体験が重なり、次第に正気を失う。

 結論の出ないホラー。
始めは貴重な体験をし、ラウツカ族に認められ、一人特別な存在となっていくのかと思いきや、どんどん奇怪なものと出会い、夢と現を繰り返して境目が曖昧になっていくような不気味な感触が増えてくる。
 煙に巻かれた感じ。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

イツロベ [ 藤木稟 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2019/11/12時点)

かぜまち美術館の謎便り


2015年01月28日 読了
 少しづつ鼓動が弱まっているような、さびれゆく町。
その町の美術館館長として赴任してきた父子の身近で、18年前に死んだはずの少年から絵葉書が届いた人たちが困惑する。

 有名な画家の絵を模して書かれた、一目で書き手がわかる絵。
それらからは、18年前の町の人々の思いだけではなく、一人の郵便局員の不気味な行動も見えてくる。

 話の一つ一つが、その頃の出来事と気持ちを解きほぐし、新しい関係を紡いでゆく。
仄暗い過去の事件が見えてくる中、ほのぼのと暖かい父子のやり取りがふわりと空気を換えていて暗くなりすぎない。絵にも興味が持てる。

 これまでの作者の本の中では読みやすいが、それが物足りなく感じる。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

かぜまち美術館の謎便り (新潮文庫) [ 森 晶麿 ]
価格:649円(税込、送料無料) (2019/11/12時点)

連写 TOKAGE3-特殊遊撃捜査隊


2015年01月26日 読了
 東京都内、コンビニ強盗が連続して起こった。
バイクを使い、目撃者や痕跡をほとんど残さず行われた犯罪に、警察はトカゲの採用を決める。
 
 次の犯行が起こるたび、だんだん規模が大きくなる捜査。
それでも犯人へつながる糸口が見つからない。
そんな時、新聞社の記者があることに気付く。

 本の厚さの割に読みやすい今野敏作品。
今回も淡々と何もわからぬまま進む序盤と、いきなりスピードアップする最後の急展開でだんだん止まらなくなる。
いくつか引っかかる謎は残るが、トカゲのスピード感が楽しい。

すえずえ


2015年01月17日 読了
 幼馴染の栄吉に縁談が舞い込み、ひと騒動の末、嫁となる娘を決める。
そして若旦那のところにも縁談が舞い込み、離れの者たちはそれぞれの未来を考え始める。

 いつまでも安全なままの離れではいられないかもしれないと思い始める妖たちと、どうも今一つ実感のわかない若旦那。
皆それぞれ変化を感じ始めた時、兄や達が買ってくれた土地に建てた長屋を妖たちの場所にすることにして、若旦那はひとまずの解決としたはずだったが。
 最後に登場した山童が、どうも後味悪い。次へつなげる布石だろうが、若旦那はどう解決するのか。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

すえずえ [ 畠中恵 ]
価格:1540円(税込、送料無料) (2019/11/12時点)

アクアマリンの神殿


2014年12月17日 読了
 桜宮市にある未来医学探究センターで、日々大事な仕事をこなしつつ暮らす佐々木アツシには、5年間の空白がある。
 人類初のコールドスリープを体験したアツシが今見守るのは、アツシの後でコールドスリープに入った涼子さん。そしてアツシを社会に適応させるための師匠として、彼に様々な課題と力をもたらす西野さん。
亮子さんの目覚めが近づいたことでアツシの周りが賑やかになってきた時、西野さんはアツシにある大きな決断を迫る。

 『モルフェウスの領域』の続編。バチスタのメンバーとはあまり関係はないが、近未来の話であるため別物として楽しめる。難しそうな話も出てくるが、基本的に学園ものであっさり読める。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

アクアマリンの神殿 [ 海堂尊 ]
価格:1760円(税込、送料無料) (2019/11/12時点)