吸血鬼


2016年03月01日 読了
 十九世紀のポーランド。貧しい田舎に新任の役人がやってきた。
やせた土地を襲う洪水、不審な村人の死、そんな時役人は見て見ぬふりをするか、村人と馴染み、同様の行いをするか。

 村に伝わる、不思議な風習。
それを否定するなら村人の信頼は得られないが、家族まで巻き込まれる。
閉鎖的な地方で起こる出来事を、暗く意味深に語る。
吸血鬼が出てくるわけではなく、隠喩として使われる。
閉ざされた村の暗くて冷たい気を感じる。

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眩暈


2016年02月24日 読了
 私立探偵の畝原は、ある夜タクシーで移動中に何かから逃げている様子の少女を見かける。気になって引き返すも、少女の姿は消えていた。
そして次の日、その少女の遺体が発見される。

 シリーズだけどどれが最初かわからず、とりあえず手に取ったものだったけど、それほど気にならずに読めた。
ただ、内容は面白いとは言えない。主人公の行動や思考に一貫性がなく、納得いかない行いをする。正義感や誠実性はそこじゃないと言いたくなることが多いため、共感もできない。

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離婚男子


2016年02月19日 読了
 長距離トラック運転手・健二は、ある日帰宅したら妻が家財と共に消えていた。
2歳半の娘を残して。。。

 よくある、妻に逃げられた男が初めての家事育児に奮闘しながらもやがて子供と心を通わす話かと思っていた。しかし、ただ妻に逃げられただけじゃなさそうだと思いだしたら面白くなっていく。
関西弁で、くだらない言い合い(掛け合い)が言えるのは家族ならではだなぁと楽しめる。
時々ドキッとする言葉が出てくるし、暴走しそうな大人に対して子供がいいストッパーになっている。
でも最後はいろいろと回収しきれずに不完全燃焼な感じがもったいない。

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ロング・ロング・ホリディ


2016年02月17日 読了
 札幌のとある喫茶店”D”。そこでバイトをしている大学生の幸平は、バイト仲間たちと充実した毎日を送っていた。しかしある日、社会人の姉が突然「しばらく泊めて」とやってきた。
そのうえ店長とオーナーのケンカも起こり、”D”は常連客も含めて大きな波乱が巻き起こる。

 いい環境の仕事場。いい仲間。だからそこで起こる問題は皆で解決する。
一般的には問題だと言われている行為をする大人が身近にいた場合、子供じゃないけどまだ社会人じゃない大学生のバイト達が起こす「行動」。
やっぱりこの人の話はいつもと同じだった。

大川契り: 善人長屋


2016年02月15日 読了
 善人長屋と呼ばれるある長屋では、一人を除いて誰もがみな裏の家業を持っていた。
そんな長屋が善人長屋と呼ばれる所以は、ただ一人裏がないまっすぐな善人の加助。しかしこの加助が持ってくる厄介事で長屋は毎日てんてこ舞い。

 表紙がいきなり剣呑だが、これが長屋の一大事。差配の母娘が囚われた。
善人長屋はシリーズだったそうだが、これだけ読んでも楽しかった。

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抹殺


2016年02月11日 読了
 車椅子スナイパーの宮崎一晃。
難病ゆえ、いずれ四肢が動かなくなる運命だが、美しい介護師兼愛人の篤子に支えられ、数々の難しい依頼をこなしていく。

 ススキノシリーズしか読んだことがなかったが、こちらも強烈なキャラクターばかりで楽しかった。短編なので読みやすく、篤子にすら正体を明かさないプロぶりが潔い。

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滅びの鐘


2016年02月04日 読了
 魔法の才をもつカーランド人と、征服民アアランド人が暮らす北国カーランディア。
力が強いアアランド人は、職人気質のカーランド人を迫害し、幾度か虐殺が行われる。
とうとう怒りが抑えきれなくなった魔法使いが、平和の象徴であった鐘を壊した時、封じられてきた闇の歌い手と魔物を解き放ってしまう。

 魔法使いシリーズではないけど、それぞれ自分の適性にあった魔法を使える人々。
人々の生き様がいろんな考えを持って押し寄せる。
事が収まり、収束に向かう部分がやたら長いのがしんどかった。

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世界の果てのこどもたち


2016年01月30日 読了
 戦争の頃子供だった3人の少女たちの、老いて人生を振り返り、感謝し、涙する物語。

 家族と共に満州へ渡った珠子と、そこで友達になった二人の戦争体験を、淡々とつづる。
どんなに悲惨な光景でも、余計な言葉で飾らずにただ事実として書かれているので、引きずられることもなく読み進められる。
そのためある意味退屈ではあるけど、一つの覚書として戦争を思い出している感じ。

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GOSICK PINK


2016年01月29日 読了
 辛い戦争を乗り越え、やっと二人ですごせるようになったヴィクトリカと一弥。
ニューヨークへついた二人は、姉の瑠璃のところに一時身を寄せることにした。
ところがついてそうそう、謎に見舞われる。

 二人が探偵事務所をひらく前の話。
仕事と家を探しに歩く一弥と、家とはどんなものなのかを知らないヴィクトリカのかみ合わない会話と、ボクシングの試合で戦う友人同士のかみ合わない記憶が混乱を招く。
一弥の、あちこちの騒動に巻き込まれて慌てふためく様子はよくわかるが、それがうるさすぎて内容が薄らいでいる。いい話よりオチのないギャグが圧倒的に多いためうんざりする。

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迷子石


2016年01月22日 読了
 見習い医師の孝之助は、絵を描くのが趣味である。
見習いの身ゆえの暇さを使い、近所の子供たちと絵を描いていた。
しかしあるとき、藩の一大事となる噂を聞き、藩の存続のために知恵を絞る。

 妙に気の許せる富山の薬売り、突然殺された父の事件の真相、様々な疑問を解くため孝之助は得意の絵で密書を作る。
それは伏線として所々にあり、すぐにネタとわかるが、こんな構成の物語は作者にしてはめずらしい。
スリルはあるが説明が多くて退屈。

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迷子石 (講談社文庫) [ 梶 よう子 ]
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