暗夜鬼譚―春宵白梅花


2018年05月18日 読了
 平安、元服したばかりの夏樹は、最近近衛府に勤め始めたばかり。
なにかと面倒なことも多いが、それなりに楽しんでいたのだが。
ある夜、夏樹は恐ろしい鬼を目撃する。

 『ばけもの好む中将』で人気の瀬川 貴次。
しかしこれはあまりにも幼い感じで説得力もないと思っていたら、かなり昔のものらしい。

裸の華


2018年05月15日 読了
 舞台上での事故で左足を砕き、姿を消したストリッパーのノリカ。
故郷の北海道でダンスシアターを開くことにしたノリカは、二人の若いダンサーと、腕のいいバーテンダーに出逢う。

 もう怪我は治っているはずなのに、踊れない。
葛藤を隠しながらも若い才能に魅せられ、育てることに力を注ぐことにしたノリカだが、その語り口がどんな時も静かで、じっくりと読ませる。
暗い話ではないし、踊り子としての矜持や力強さがしっかりと伝わってきて、踊りに興味がなくても自然と想像してしまう。
ひと時の夢のような時間を、自分も過ごした気分になる。

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あなたの人生、逆転させます: 新米療法士・美夢のメンタルクリニック日誌


2018年05月12日 読了
 なかなか就職先が決まらず、焦りの末に飛び込んだメンタルクリニックで採用され、晴れて新米心理療法士となった森野美夢。
そこでは、変人に見える院長が実は名ドクターで、そこでの仕事は刺激に満ち溢れていた。

 いろんな悩みを抱えた患者との触れ合いの中で、その人の悩みや問題はどこから来るのか、少しづつ心を解きほぐし、気づかなかった問題に目を向けさせる。
 事例は面白くて、こんな動きがあるのかと興味が湧いてくるものの、特に注目させるような大きな出来事もなく、どちらかというとまだ導入といったところで終わってしまった気がして物足りない。

カーリー <3.孵化する恋と帝国の終焉>


2018年05月06日 読了
 オルガ女学院が閉鎖されてから四年。大学に進学したシャーロットは今でもインドへの思いを抱き続けていた。
どうにかしてインドに行く方法はないかと様々なことをしても、どうしても出国許可が下りなくてもがいていたカーリーの前に、インドの王子ル・パオンがある提案をする。

 大人になったカーリーは、小さな閉ざされた楽園の女学校で夢見るような生活を送っていた頃とは違い、少し世界が広くなった。
でもおてんばぶりは相変わらずで、そのおかげでインドへたどり着くこともでき、やっとカーリーとの再会もできる。情熱のなせるわざ。
でもやっぱり乙女な言動もそのままで、微笑ましくもハラハラさせられ、羨ましさと応援したい気持ちでいっぱいになる。

カーリー <2.二十一発の祝砲とプリンセスの休日>


2018年04月29日 読了
 シャーロットの学院に、バローダの第一王女・パティが編入してきた。
寮で一番の部屋に陣取り、コーラスの歌を返させ、象に乗って街に出る。
とんでもない行動に皆を巻き込み、振り回す王女。

 振り回され、いちいち腹を立てていた少女たちも、次第に気になり出し、王女に興味を抱く。
10代の女の子らしい発想ではしゃぐ姿が微笑ましいが、その分とんでもないことを思いついたりして、ハラハラする。
人の事には敏いシャーロットが、カーリーの様子にだけは鈍感なのも定石。
その力強さとノリが最後まで楽しかった。

奏弾室


2018年04月28日 読了
 森の中、墓地の奥にある古い洋館には、ピアノ教室があった。
そこは、彼女の音が聞こえる人だけが通える、なんでも教える教室。

 不思議なピアノ教室に迷い込んだ少年が、ひと夏そこでバイトすることになった。
始めは彼女の引くピアノに惹かれ、洋館の掃除や生徒の譜めくりをしていた主人公の祐介だが、やがて繰り返される7月の記憶に不自然を感じ始める。
どんな結末になるのかは後半に入ると予想できるが、祐介や彼女の描写が細やかでリアルなために引き込まれる。
彼女が幼い事祐介にささやいた言葉が気になって様々に空想が広がり、音であふれた余韻を残す。

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道標 東京湾臨海署安積班


2018年04月25日 読了
 東京湾臨海署刑事課強行犯第一係、通称「安積班」と呼ばれるチームのリーダー・安積が、警察学校の頃から次第に成長して今の立場になるまでの出来事を所々切り取った短編集。

 安積がどんな意志を持って警察官となったのか。
若い頃の話はまだ未熟で、でも今の面影はちゃんとある。
それでも一つ一つが短すぎるのか、身近に感じる暇もない。
さらに視点が変わっても語り口は変わらないので人物の個性が出ていない。
 今につながる小ネタだとしても満足感は低かった。

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コンタミ 科学汚染


2018年04月20日 読了
 大学院生の圭は、優秀だがわがままで横暴な指導教員の宇賀神について、研究室の雑用を一手に引き受けていた。
それもこれも就職の恩恵があるため。
しかしある時、二人で東都工科大学の蓮見教授に招かれ、出向いた先で衝撃的な事実を知らされる。

 優秀だけど軽薄な上司に振り回される主人公はとても想像しやすく、滑稽なやりとりが楽しいが、最後はシリアスで悲しい事実を知らされる。
科学に向ける視線のずれを、合コンで知り合った女の子がスパッと言い当ててくれて爽快な反面、胡散臭い科学が身近にあるのも恐ろしい。

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さよなら、わるい夢たち


2018年04月17日 読了
 ジャーナリストの長月菜摘は、学生時代からの友人・薄井麻衣亜が失踪したことを知る。
理解のない夫、仕事をしようとしているのに子供を預かってくれるところがなく、実家にも頼れない。
追い詰められての失踪と思われた。

 麻衣亜を探そうと、付き合っている彼と一緒にあちこちを回る菜摘と、失踪が公となって目撃情報から動く警察との二つの視点があり、わざわざなぜだろうと思わせる。それがわかるのは結末になってからだが、意外性という意味では大いに驚かされた。
でも、なぜか読後感がすっきりしない。

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回帰 警視庁強行班係・樋口顕


2018年04月15日 読了
 樋口の通っていた大学の近くで車が爆発し、死傷者が出た。
これはテロなのか。
すると、上司である天童隆一管理官から「かつての部下、因幡が『テロを防ぎたい』という電話をかけてきた」と打ち明けられる。

 国際テロ組織に入ったという噂のある因幡のことを信じていいのか、そして合同捜査となって一緒に捜査をすることになった公安のことも信じていいのか、樋口が悩みながら仕事をする姿が、淡々と語られる。
そしてやっぱり同じような話が多いせいか、すでに読んだような気もしてくる。

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