解決まではあと6人―5W1H殺人事件


2018年10月23日 読了
 平林貴子と名乗る女が、興信所をはしごしては変わった依頼をしていく。
それぞれの興信所で解った事実が何を意味するのか。
それがわかるのは平林貴子だけだと思っていた。

 すべての依頼内容がわかっているから繋がって来る出来事。
でも一つしか知らない者たちにはわけがわからない出来事。
どんどん疑問が増え、興味も増えるが、作者らしい読みやすさでサクサク進む。
でも最後は、どんな探偵でもわからないだろう。
だって伏線がなかったから。予想できるわけがない。
意外性があってずるいと言うのとは違う。
こじつけにすら思える狡さで興醒めした。

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無暁の鈴


2018年10月19日 読了
 武家に生まれたが、妾腹だったために疎まれ、寺に預けられた久斎は、大事に思っていた娘の死を受け入れられず、寺を飛び出した。
その後に出会う人たちとの暮らしで、久斎は無暁と名乗り、波乱万丈の人生を生きる。

 寺を飛び出した後、出会った万吉と暮らした日々があっという間に終わってしまい、残りはいったい何の話だろうといぶかしんでいたが、そこからはもっと濃い人生となった。
苦しい生活、ひどい天災や飢饉が長く語られるが、一番印象的だったのはイナゴの群れだった。
虫にすらなすすべもないとは、悲しさが残るばかり。
最後は若い頃の彼とは別人のように人が変わる。
でもやっぱり悲しみが募る。

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トッカン 徴収ロワイヤル


2018年10月14日 読了
 税金滞納者に日々納税指導を行なう、国税徴収官。
鬼の鏡トッカンについて悪質な滞納者へ立ち向かう日々。
そんなぐー子も入局5年となり、税大研修での怒涛の課題の中で鏡トッカンと経験したことを発表すると、引かれるほど驚かれる。

 国家公務員なのに、入局後にまた学校へ入る?
知らなかった。厳しそう。
どんな滞納者にも毅然と立ち向かう姿は今までも描かれていたけど、今回も刺激的で衝撃的だった。

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翼竜館の宝石商人


2018年10月10日 読了
 1662年アムステルダム。
海抜が低く、常に浸水と闘っている土地で、宝石商人ホーへフェーンがペストで死に、すぐさま埋葬された。
しかし翌日彼は、自宅の金庫室で窒息寸前で発見される。
画家レンブラントの息子ティトゥスと、記憶を失ったナンドは、その事件に巻き込まれる。

 不思議な世界の話のよう。
湿気と闘いながら、記憶がない事すらもあまり気にしていないナンドが、あっけらかんと生きている様子が、とても面白い。そして次々と興味をそそることが起こる。
表紙の様子から、ペスト医師と外科医たちの人体解剖にかかわる話かと思ってたら、全く違う方向へ誘われていく。
最後ナンドはどうなったのかがとても気になり、しばらく考え込む羽目になる。すっかり取り込まれていた。

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破蕾


2018年10月05日 読了
 旗本のところへ使いに出たお咲は、そこで恐ろしい話を聞く。
「市中引廻し」の刑となった女の身代わりを受けることになったという。
あまりの羞恥に気も失わんばかりだったお咲だが、塗られた薬のせいもあり、しだいに箍が外れていく。

 図書館で借りた本には表紙がついていなかった。
不思議に思いつつも読み始め、もしかしたらあまりの刺激の強さに外されたのではないかと思っていたら、少しもおかしなところはない様子。
 女の受ける刑が、女であれば少し違和感を抱くだろうと思う。
でもその様子や気持ちの移り変わりが丁寧に書かれていたためにそれほど嫌悪感は生まれない。
その事件に絡んだ女たちがそれぞれ貫いた人生が、熱に浮かされたように描かれていた。

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後ろ傷


2018年10月03日 読了
 北海道で一番レベルの低い大学に通う省吾は、ある日学友がヤクザから追われているのを見てしまう。
慌てて警察に駆け込んだが、なんと警官は皆見て見ぬふりで、省吾たちは派出所内でヤクザに暴力を振るわれる。

 ススキノで探偵をするあの二人も登場するのだが、しつこく蘊蓄を語る疎ましい存在として書かれていた。
探偵より主人公の省吾より、一番存在感があり印象に残ったのは、大学から身を投げて死んだホームレスの老人だった。

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暗黒星雲のかなたに


2018年09月29日 読了
 地球の大学に留学していたネフェロス星の貴族の息子・バイロンは、突然父を反逆者として殺され、バイロン自身も狙われる。
惑星ローディアに逃げたバイロンは、政略結婚されようとしていたローディア総督の娘アーテミシアと共に追われる身となる。

 今でこそありふれた設定と言ってもいいが、私が生まれる前に発行された本ということを思えば少しも古臭くない分、かえって新鮮に感じる。
宇宙をまたにかけた逃亡の末、知恵によって身を守り、裏切り者を突き止める。
宇宙船の設定や政治に関しては興味をそそるものだったし、充分楽しめた。

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ロスト・シンボル 下


2018年09月17日 読了
 今夜中に謎を解かないと旧友の命がない。
ラングドンはピーターの妹キャサリンと、フリーメイソン最後の謎を解こうと知恵を絞る。

 謎や隠し文字、隠喩や暗号といった、興味をそそることがたくさん出てきて面白いが、やはり宗教的な蘊蓄にはついていけない。
ちょっとした疑問が湧いても、そのせいで知らなくてもいいやと投げやりになってしまう。
そのため大げさに走り回ったのにこんなものだったのかと思わずにはいられない。

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ロスト・シンボル 上


2018年09月17日 読了
 キリストの聖杯をめぐる事件後、ハーヴァード大で教鞭を執る生活を送っていたラングドンに、旧友から突然に講演の依頼が入る。
会場に駆け付けたラングドンだが、そこで見たのは、空を指さす旧友の手首だった。

 相変わらずのラングドンだが、今度も強引に事件に巻き込まれる。
しかも手首を見つけさせた犯人は、フリーメイソンの謎を解かないと旧友・ピーターの命はないと脅す。しかたなく謎解きに走るラングドンがやっぱり危険な目にあう様はスピーディーで目が離せないが、宗教上の話はちっとも分からず退屈だった。
前作もそうだが、キリスト教の基礎知識がないと謎も暗黙の了解もタブーも気づけない。
だから発見も思いつきもヒラメキもなくて退屈に感じる。

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師弟の祈り 僕僕先生: 旅路の果てに


2018年09月12日 読了
 王弁は突然現代日本へと飛ばされた。
そこで、僕僕先生との強い絆を持った人と出会う。
一方、神仙と人との争いが起ころうとしている長安。
二人はまた出会うことができるのか、そして神仙と人との戦いは。

 前作からいきなりつまらなくなった。
読んでいても興味がわかず、状況も想像できない。
何が言いたいのか、どうしたいのか全く伝わらないまま、終わりも中途半端に途切れて終わり、結局なんだったの?とすっきりしないシリーズ完結。
これなら<旅路の果てに>はいらなかった。

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師弟の祈り 僕僕先生 旅路の果てに [ 仁木 英之 ]
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