2019年02月07日 読了
横須賀のマンションに住む独身の鶴川佑作。
仲良くしている同じマンションの住人の雑誌を返そうと家を訪ねると、返事もなく、鍵も開いていた。
心配して中を覗くと、死体があった。
マンションの住人同士の関係が様々で面白い。
好感を持っていた人が、他人にとっては気味の悪い人だったりすると知って怖くもなるが、すべては最後にスッキリ解決するので後味は悪くない。
書店シリーズは都合のいい出来事ばかりで飽きていたが、こちらは楽しかった。
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読書と手芸の記録
2019年02月07日 読了
横須賀のマンションに住む独身の鶴川佑作。
仲良くしている同じマンションの住人の雑誌を返そうと家を訪ねると、返事もなく、鍵も開いていた。
心配して中を覗くと、死体があった。
マンションの住人同士の関係が様々で面白い。
好感を持っていた人が、他人にとっては気味の悪い人だったりすると知って怖くもなるが、すべては最後にスッキリ解決するので後味は悪くない。
書店シリーズは都合のいい出来事ばかりで飽きていたが、こちらは楽しかった。
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2019年02月01日 読了
年の離れた夫を亡くし、学者だった夫の代わりに寺子屋で師匠をしているお桃。
学問も算術も、それほど好きではないお桃だが、子供に教える程度なら大丈夫であった。しかしそこへ、酒匂川の氾濫で両親を亡くした春が寺子屋を訪ねてきた。
自分にはない発想をする春と、算術が好きで才もある生意気な鈴と接しているうちにお桃は気持ちが乱れていく。
第11回小説現代長編新人賞受賞作。
しかし、なんだかお桃のキャラクターが一貫しない気がしてずっと違和感があった。
主人公の気質がはっきりしないのは、混乱もするし感情移入もできない。
算術の面白さは伝わるが、桃の人となりは伝わってこなかった。
それ以外の、夫や平助、春や鈴はとてもスッキリ伝わってくるのに、なぜだろう。
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2019年01月31日 読了
相変わらずの執念で襲い来る化け物と闘いながら、一方では元コンスル帝国軍人ライディネスの襲撃にも備え、やることがいっぱいのエンス達。
古の巫女の結び目もまだ解けない。
自分に悪意を持つものではないのになぜ執拗に追って来るのか。
恨みを買わなくても悪意はむけられる。ただ本人が目を付けただけで。
緊迫する戦いの中でも、時々ふっとトゥーラに向ける思いが溢れて和む。
定石の結末となったが、もっと彼らを見てみたいと思う。
特に、別の視点からのライディネス。
そしてダンダンに乗ってみたい。
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2019年01月25日 読了
遊女たちの髪を結う仕事をしている母について、髪結いの見習いをしている梅。
当代一の美しさと言われる紀ノ川や、その禿になったタネとの出会いが、お梅の心に覚悟を抱かせる。
遊女と恋仲になった夫から婚家を追い出されたお梅には、辛い仕事。
でも女たちとの交流の中で、次第に仕事への矜持を見つけるお梅の様子が力強く描かれている。
そして悲しい出来事をいくつも乗り越える女たちの様子に何度も泣かされる。
美しさの表現も見事で、想像するだけでも息をのむほどの光景が何度も出てきて、そのたびに繰り返し文字を追った。
最後まで満たされた思いが続く。
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2019年01月23日 読了
家族のために、家事をすること。
それがこんなにも大変だなんて、誰も言ってくれない。
家事と、育児と、仕事と。
苦しくて死んでしまおうと思うほど追い詰められる人たちが、どんな思いでいるのかをじっくり書いてあるので、読んでいて苦しくなる。
それは女だけの話ではなく、育児休暇を取った男性でも同じ。
これは、家事を”手伝っている”と言っている人たちに是非読んでほしい。
切実すぎてうなされそう。
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2019年01月19日 読了
50年前に建ったこの百貨店は、エレベーターが手動だったり、屋上にはメリーゴーランドや観覧車もある。
そして「魔法を使う白い子猫」の伝説。
古くても街の人々に愛されている百貨店を舞台に、そこで働く人と客たちのほのぼのとした物語。
どれもが優しく穏やかで、ファンタジーでメルヘンな世界が広がる。
ふわふわした感覚でずっといられる、夢をみたような気分。
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2019年01月14日 読了
呪いの宝石に悩んでいるという宝石商が、偽の神父に騙されそうになっていた。
ちょうど行きあったロベルトは、平賀を誘い、呪いを解くエクソシストをしてほしと頼まれる。
呪いの真実は、想像もつかないことだった。
特殊な目を持つ人がいることは知っていたけど、短編だけどインパクトが残った作品。
他の短編も、うすら寒食て気味が悪いものや、微笑ましいものまで、さらりと読めて楽しかった。
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2019年01月11日 読了
人気の若手俳優が、週刊誌に淫行のネタで強請られていた。
それは目を付けた若手に女とのスキャンダルを作り、芸能事務所から吸い取ろうとする暴力団がらみの団体だった。
出会いカフェの客に失神させられる事件が多発したり、「いいね」をもらうために普段ならやらない無茶をする。
いつものように切ない話ばかりだが、今回は久しぶりにタカシの冷たい判決が見れた。長く続いていて、世情に敏い話ばかりの割に、登場人物の年は変わらないので少し違和感が出てきた。
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2018年12月27日 読了
十三層の巨大楼閣の頂点にいるという太夫の名を付けた伊武は、精巧な機械でできたオートマタだった。
幕府転覆を狙う技工士が作りだしたと言われていたが、それははるか1000年も前の技術であった。
伊武に惹かれた男がまた一人、その技術を学び、伊武を生かす。
艶めいた出来事はないが、代わりに精密な機械の動きに驚かされ、興味をそそる。
伊武に関わる秘密が少しづつ明らかになり、やがて大きな野望を浮き上がらせる。
最初から最後まで、オートマタの技術に引き込まれていたため、久蔵や幕府の隠密たちがどう動いて何を企んでいたのか少しも気づかなかった。
伊武を動かせる人は、一つの時代に一人だけとなるため秘密は漏れない。
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2018年12月22日 読了
大学院修了後、博士研究員となった私。黒猫としたケンカしたまま彼が出張に行ってしまったある日、白ずくめの格好をした自分そっくりの女性と出会う。
不可解な暗号が書かれたハガキが届いたり、母の不自然な行動から、私は強い不安を抑えきれなくなり。
黒猫シリーズ第2部のスタート。
ドッペルゲンガーを見るという不気味な体験をし、奇妙な都市計画、身近な人の書く仕事など、不安を煽る出来事が続く。
美学やグロテスクの講義は相変わらず難しいけど、それ以上に不気味さが大きかったためか、黒猫の登場でほっとする。
でも最後の私の決断にまたモヤモヤし、それが全体の印象を急に悪くした。
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