摘出―つくられた癌


2013年12月03日 読了
 右の乳癌の手術をするはずが、左を切ってしまった。
仕方なく、予定通り右も切り取り、左にも癌があったということにしたが。

 単純な左右取り違えミスのせいで両方の乳房を失った女性のもとに、告発文が届く。
しかしどうやらこれはただのミスだけではなく、院内の人事をめぐる罠でもあった。

巧妙に仕組まれた罠というわりには、どうも安っぽい。
複数の医療関係者が不審に思い、検証もできるような部分で全く対処されてないのは「巧妙」とは言えない。
調べればすぐにわかるDNAの違いを考えもせず軽はずみに仕掛けるうえ、そこを都合よく避ける流れにがっかり。

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怪盗探偵山猫 鼠たちの宴


2013年12月01日 読了
 『悪党から金を盗み、その悪事を暴く窃盗犯がいる』
そんな噂を聞いた者が、こっそり惹きつけられるようにその店へやってくる。

 祭りの露店で売っているようなお面をかぶって素顔を見せない「山猫」が、悪党をこてんぱんにやっつけてから金を奪っていく。
あっさりしていて読みやすい。

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殺しも芸の肥やし 殺戮ガール


2013年11月30日 読了
 遠足で女子高生30人が乗ったバスが突然行方不明となる。
ある小説家が書いたものを自分のものとしてを発表しようとしていた編集者が殺された。
おかしな事件が続き、それを調べようとした人もだんだん消されていく。

 ブラックユーモア、サイコホラー。
少しづつ暴かれていくものの、ぎりぎりでかわされ逃げられる。
そして追う人が様々に入れ替わっていく。
 解決しないところがまたうすら寒い後味を残す。

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黒猫の刹那あるいは卒論指導


2013年11月29日 読了
 『黒猫シリーズ』学生編。
美学科に在籍する「私」は卒業論文に苦悩していた。
そんな時、唐草教授のゼミに突然加わった黒いスーツの同級生。

 黒猫のあだ名がついた瞬間。「私」との出会い。
教授になっている黒猫より少し口が悪い分、「私」に対する優しさもわかりやすい。
早く読みたいけど、読み終わるのがもったいなくて一文字も逃すものかと思って読んだ。

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修羅ゆく舟


2013年11月23日 読了
 鬼のような顔つきの、豪胆な蘭方医玄齋の下で、二人の女が生きる。
玄齋の弟子の妻だった沙穂は、流行り病で夫を亡くした後も玄齋のところで働いていた。そんな玄齋の元へ嫁いだ2歳年上の叔母・千草との関係が、玄齋が蝦夷地へ旅立ってから急速に壊れ始める。

 疱瘡撲滅を願う玄齋と、玄齋を慕う2人の女の物語。

 先に読んだこの人の本も、どうしようもないものに翻弄される女たちの生き様が絞り出されるように書かれていたのが印象的だった。
今度も息苦しくなるような結末だったけど、読後感はさわやか。

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神の狩人 2031探偵物語


2013年11月22日 読了
 2031年、都市はオゾンホールからの有害紫外線を遮断するために人工的に作り上げられた雲によってドームのように覆われ、食べ物はすべて工場で作られる。

 そんなに遠くない未来の設定だけど、生活はもっと未来の、ファンタジーの世界。
そこで探偵をしているサラに、生き別れた姉を探してほしいという依頼が入る。

 実際に起こった過去の出来事から続く未来には、こんなことも起こりうるのかもしれない。
でもちょっと突飛すぎた。いつか続編を出すつもりのようで、探偵はまだ謎にたどり着けていない。

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天狗変―平安陰陽奇譚


2013年11月20日 読了
 陰陽家である師・加茂保憲の供として、晴明と共に東山にやってきた光栄。
そこで僧たちの間にささやかれている噂を耳にする。

「天狗か、仏罰か」

保憲に「その怪を卜占せよ」と命じられ、晴明と共に動き始めた保憲は、迷いながらもたくさんの選択をする。

 明るく不真面目な陰陽師見習いの清明と、今度は実地の訓練をする保憲。
長い割にはそれほど実があったとは思えないけど、新しい出会いあり、大きな決断による成長ありと、様々な変化があって次が待ち遠しくなる。

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猫桃神話


2013年11月17日 読了
様々な国や宗教の神話を混ぜ込みながら、主人公の桃が自分の資質に気付くまでを描く。

 全く入り込めない。奇妙すぎて嫌悪感だけが広がる。

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かりんとう侍


2013年11月15日 読了
 旗本の次男坊・日下雄征は、気ままな部屋住みの身分。日々のんきに暮らしていたが、黒船来航で急に世間は変わりだす。

 かりんとうが大好物の変わり者の侍が、今までどれだけのんきだったのかをやっと悟り始める。
色んな人に諭されどやされ、やっと自分の生き方を決める様子はもどかしいくらいゆっくりで。
でもそんな姿も微笑ましく思える。ほっとできる話。

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さわらびの譜


2013年11月14日 読了
 扇野藩の重臣、有川家の長女・伊也は、女だてらに弓を引く。
弓矢小町と謳われる伊也は、藩内のもう一人の弓の使い手である樋口清四郎と出会い、惹かれあう。
だが清四郎は妹の許嫁となってしまった。

 二人の思いとは別に、藩の政の謀に伊也と清四郎を利用しようという者がおり、二人は家の名と共にそれに巻き込まれていく。

 最後は八方丸く収まるのだが、流れはとても分かりやすい。そのうえ特定の人物の目線でもなく淡々と進むので感情移入もしにくい。
ただどこかの歴史書を眺めているよう。

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