平安陰陽奇譚 愁恋鬼篇


2013年11月13日 読了
 陰陽寮の暦生である賀茂光栄には、安倍晴明という兄弟子がいた。

 晴明といえば、『見目麗しくて立ち居振る舞いは品良く優雅、すべての人の目を釘付けにし、天才と呼ばれる陰陽師』が基本。
でもこの話の中では、『大きな鷲鼻でドングリ眼、父親が苦手で常に逃げ回っており、さらには18歳も年下の兄弟子と同レベルでケンカをする勉強嫌い』とくる。

 あまりにも雰囲気の違う晴明で面食らうが、これはこれで面白い。
女好きで、女性を口説くためには必死で術を磨くが他のことではサボりまくる晴明は、光栄と共に見習いで未熟な学生。
その二人が同僚から相談を受け占をする。
まだ力のない晴明たちの必死さが頼もしい。

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舞灯籠―京都上七軒幕末手控え


2013年11月10日 読了
 京都の花街、上七軒で舞妓をしている小梅は、お座敷で出会った一人の男になぜだか心を奪われる。
花街で舞妓として、芸妓として、振り売りとして生きる女たちの恋。

 独特な言葉に慣れてからは夢中になれた。
切ない恋の話ばかり。
同じ頃に同じように恋をした女たちの話を、一つ一つ追える。

バチカン奇跡調査官 終末の聖母


2013年11月08日 読了
 バチカンで法王選挙が行われる最中、平賀とロベルトは、有名彫刻家の作品の除幕式に出席するためにメキシコのグアダルーペ寺院を訪れる。
そこで奇跡を目撃した二人は、調査を始める。

 平賀の知識とロベルトの実験には驚くことばかり。
そして予想もつかない仮説。
どんどんスケールが大きくなるが、そこへキリスト教とのつながりを見つけるのは少し強引な気もする。

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船宿たき川捕物暦


2013年11月02日 読了
 小野派一刀流の「青鬼」真木倩一郎。
道場で剣術を教えている浪人だが、ひょんなことから拉致に遭いそうなった女性を助けたことから岡っ引の総元締めと縁を持つ。

 武家の倩一郎が大小を捨てて「たき川」へ婿入りするきっかけとなった一件。
剣の腕は師範代、見目もよく、穏やかな語り口の倩一郎はとにかくかっこいい。
さらに武士であることもあっさりと捨てて商人になるところも。

 ただ、お葉とのやりとりはそれほど魅力的ではなく、むしろあまりいい女とは思えなかったのが残念。
先に読んだ次作の「初めての梅」でのお葉なら納得いくのだが、結婚に至るほど心を動かされたという部分が少ない。

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シューメーカーの足音


2013年10月29日 読了
 ロンドンのジャーミン・ストリートに店を持つ靴職人の斎藤良一。
いつか「英国王室御用達」の称号を手に入れる日まで彼の野心は潰えないはずだった。

 彼がそこに店を持てたのは、13年前の出来事があったからだ。
しかしその時から、斎藤に復讐するためだけに技術を高める若い靴職人・榎本智哉がいることを、斎藤は気づいていなかった。

 すばらしい技術を使った職人の戦い。
ミステリーだけど、専門の話を飽きさせない程度に詳しく盛り込んであり、集中してあっという間に読んだ。
何かに囚われていると、これほどに視野が狭くなるものなのか。

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初めての梅―船宿たき川捕物暦


2013年10月24日 読了
 江戸の船宿「たき川」の2代目にを襲名した倩一郎。
目明しの元締め米造が、町のあれこれの始末をつける。

 始め、読みにくい文で解りにくい進め方だと思っていたけど、慣れてくれば米造の気持ちがわかる。
読みにくさは前作を読んでないせいかもしれない。
二刀を鉄扇に持ち替えた米造の働きが頼もしい。

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陰陽寮〈壱〉安倍晴明篇


2013年10月21日 読了
 平安京は疫病のために日々次々と死人が出、処理が追いつかないほどであった。
その病は身分を問わず広まったため、政を行う面々も半数となっていた。
 欠員の補充に仮に任命された内大臣の伊周はぼんくらで、そのうえ筑前の国に異国の海賊らしきものが侵攻して来たという知らせも入り、都は混乱する。

 清明とそれを取り巻く者たちは人外のモノであった。
何年も生き、世の中を影から動かす。
本の厚さの割にはドロドロとしたことばかりで何も進まず、飽きが来る。

生活安全課0係 ファイヤーボール


2013年10月19日 読了
 頭はいいが人付き合いがさっぱりで空気が読めない警察キャリアの小早川冬彦。
暇つぶしに書いたレポートを上司に見せたらなぜか窓際チームへと移動になる。
それでも冬彦は、捜査の現場へ出られると大喜びだった。

 厄介な人物を閑職へ追い込むために作られた生活安全課0係。
集まった人は当然ながらみんな癖がある。
冒頭ではものすごく嫌な人物だと思った小早川だけど、だんだんその頭脳を生かす働きをしてあちこちを解決に向かわせる。
 全部解決するし、推理もおもしろい。でもなんだかすっきりしない。
タイトルも違和感がある。

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鯖猫(さばねこ)長屋ふしぎ草紙


2013年10月18日 読了
 猫しか描かない売れない絵師の青井亭拾楽。住処は鯖三毛柄の雄猫が一番偉いという長屋。そこは頼もしい差配と仕切り屋の女房のおかげで平和だった。
 
 ところがその長屋へ、訳ありげな女が独り身で移り住んでくる。

 訳ありなのはその女だけではなかった。
なんでも知ってる風の猫がここぞという時に出てきては、仙人のような仕切りで事を治めていく。なぜだか従いたくなるそのしぐさがすばらしい。

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明治・妖モダン


2013年10月16日 読了
 江戸が明治になり、煉瓦の建物がモダンな街並みを作っている頃。
掘立小屋のような派出所に勤務する巡査の二人のところに持ち込まれる問題は、おかしな妖がらみのものばかりだった。

 「しゃばけシリーズ」とは見方が変わり、妖たちは畏れられるものとして描かれている。
人に化け、人と混じり合いながら暮らす妖たちの話。
でも、いまいち曖昧で世界観が定まっていない感じがして消化不良。

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