マグマ


2009年09月13日 読了
 外資系ファンドに勤める妙子は、地熱発電を研究運営する日本地熱開発の再建を任される。

 日本のエネルギー問題として、地熱発電に目を向けた。外国からの圧力、政治的な思惑、現場の仕事。
 「国際エネルギー戦争」というサブタイトルの通りである。

 スケールの大きいテーマのわりに、あやふやだったり違和感だったりするものがなかったので、すっきりと読み終わることができた。でもボリュームのわりに充実感がない。

 節電もエコも、地球のためというよりは、まず自分の節約のためと思っているからか。小さいのは私のほう。

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カタコンベ


2009年09月10日 読了
 第50回江戸川乱歩賞受賞作。
選評では、「あらゆる点においてあまりにも不注意」だとか「文章に難が多い」だとか、かなりひどい言われようである。

 でも「B級ハリウッド映画のような」感覚で力強く読めたし、情景を思い浮かべやすいといった点では充分おもしろかった。

 ほとんどが洞窟内の出来事ということで、ちょっとした閉塞感に襲われ息がつまりそうだったけれど。。。

 確かに映画をそのまま小説にしたような作品で、疑問が残ったりわかりにくいところもあったけど、それほどひどい評価をされるものだったとは。私はまだ読解力が足りないということなのか。

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時計を忘れて森へいこう


2009年09月09日 読了
 「ミステリー」と作者は語っている。
落とした時計を探しに迷い込んだ森で出会った自然解説指導者。

 秋の早朝の空気のような、キンと音のするくらい静かな物語。

 探偵モノなんだろうけど、加害者がいるわけじゃなく、本当に時計を気にしないでいられる物語だった。

 「銀の犬」ほどの余韻はないけれど、幸せな未来を確信できると思わせてくれる。

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さくや妖怪伝


2009年09月08日 読了
 映画のノベライズ。
富士が噴火し、そこに封じられていた妖怪たちが一斉に溢れ出た。それを狩り、もとの平安な地上へと戻すべく、一人の少女が立ち上がる。

 この世でただ一つ、妖怪を切れる刀を持ち、河童の子を弟として育てた少女、「さくや」。
 映画は知らなかった。なんとなく「木花開耶姫命」という神の話を読みたいと思って手に取った本。

 普通に妖怪退治の話だけど、サクサク読め、豪快な娘と手の内を明かさない頼もしい助っ人たちという王道なストーリーはそれなりに楽しめた。

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ノアの徴


2009年09月07日 読了
 心理学者である立原健人が、自らの内に巣食う「モンスター」の望むままに殺人を犯す。完全犯罪を目指す傍ら、自らの存在を示す印を残し。。。

 ネットで獲物を見つけたり、心理学用語を目印としたり、多重人格や虐待といった興味をそそる題材をうまく利用しているが、最初からどうも不快感を引きずる。

 「ユグノーの呪い」と同じく読みやすかったが、こちらは後味が悪かった。

 ノアをもっと使ったほうが面白くなったんじゃないかな。
「言い間違え」についての心理学的解釈も、意味深に使われている割には説明もなかったのがものたりない。

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まほろ駅前多田便利軒


2009年09月06日 読了
 東京の片隅にある便利屋。そこの主である多田のところに迷い込んだ高校の頃の同級生・行天。
 一生懸命今を幸せだと思いこませようとしているような主人公と、本当に迷い猫のような行天の生活。

 カーテンごしに家族と話をしているような感覚で、どこか現実でないような雰囲気をもったお話。

 楽に読める。思いのほか爽やかな読後感が残り、疲れたなぁと思った夜に手にとったらよく眠れそうだと思った。

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銀の犬


2009年09月05日 読了
 ケルトの民族に受け継がれてきた民話・伝説を題材とし、妖精や妖魔、人の魂を美しく書きあげてある。

 伝説の祓い楽人・オシアンと、その連れのブラン。二人が旅の先々で救う魂の物語。
 声を失った楽人であるオシアンの穏やかさに包まれた、幻想的な世界が素敵。

 まるで、美しい音楽を本当に聞いた後のような余韻が残り、静かで満ち足りた気分で終われる。
 途中から登場する同業者のような商売敵のような二人連れも、彼らだけで十分物語が出来そうなほど魅力的。

 続編が出そうな雰囲気なので、とても楽しみ。

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白夜街道


2009年09月03日 読了
 元KGBの殺し屋・ヴィクトルが4年ぶりに来日した。連絡を受けた倉島警部補は、その目的を調べ始めた。テロか、犯罪か。

 足取りを追うためにロシアに渡った倉島たちの前で起こる銃撃戦。

 「曙光の街」の続編といえるこの作品。日常を離れ、公安やテロリストたちの世界に浸る。白夜を見た事はないけれど、その舞台はさらなる幻想へと導いてくれる。
 テロリストなのに、ヴィクトルは誰からも憎まれることがない。
その不思議さもおもしろい。

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殺人の四重奏


2009年09月01日 読了
 革命期フランス、作者のもっとも得意とする分野。

 宮廷内、微笑みと耳触りの良い会話に隠された思惑を読み取れない者は利用されていく。

 市井であってもそれは同じ。薪をふんだんに使える生活がしたい、ドレスをまとい、柔らかなベットで眠る生活を。。。
 
 そして今に生まれついた運命を変えたいと望む。

 短編であるため、各物語はあっというまにすぎてゆく。でも毎日はたぶんそんなもので。それでもフランス王妃マリー・アントワネットが脇役で登場する物語は、印象深い。

 信念を見つけ出すために費やすエネルギーは、静かに疼く種火のようなものかもしれない。潜む力が香り立つような目をした男の魅力が描かれていて素敵だった。

 でもやっぱり長編が読みたい。

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夜騎士物語―Night Knight Story


2009年08月28日 読了
 ホストだった父親のようにはなりたくないと思ってホストになった男に、ホストに心を壊された母をもつ男がホストになって戦いを挑む。

 私が女だからか、なんだか違和感と嫌悪感のまざった内容だったけれど、途中で投げ出すほどではなかった。結末はそれとなく窺えたし、流れも予想の範囲を超えなかったけれど、文章は読みやすかったし、集中して読めた。
 

 ただ、「この人はこんなもんではない」という意見が多かったので、ほかの作品も読んでみたいと思う。

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